193-1.強烈ガーリックフランス①






 *・*・*












 今日の夕飯には、ちょっとだけお酒のつまみになるようなパンを仕込もうと思います。



「ガーリックフランスを仕込もうと思うんです」


「「『ガーリックフランス??』」」


「ガーリックはニンニク。フランスはフランスパンのことです」


『なるほど〜』



 フランスパンは、通常のバケットサイズよりもさらにミニサイズに作り。


 発酵時間の間に、塗るためのガーリックバターを作っておく。



 ニンニク(大量にすりおろし)


 塩


 無塩バター


 生パセリ


 エシャロットぽい白い野菜



 バターはロティのレンジで軽く溶かし、生パセリとエシャロットもどきはみじん切り。


 ゆるく溶かしたバターのボウルの中に、ニンニクのすりおろし、塩と刻んだものを入れて混ぜれば完成。



「加熱していないニンニクを食べ過ぎたら、気持ち悪くなることもあるので……味見はあんまりしなくていいです」



 けど、ニンニク臭が凄いので換気のために窓を開けていたら。



「いーい、匂いじゃなかい?」



 エスメラルダさんのご登場である。サイラ君とか、ほかの厩舎メンバーさんは誰もいない。



「今日の晩御飯の支度です」


「へぇ? こんな匂いがすんのは……焼いたのとかかい??」


「いいえ。パンです」


「エピアとかに、前に作ってやったのとか??」


「あれよりも、たくさんニンニクを使っていますよ」


「ほーん……あたいも手伝おうか??」


「大丈夫です。下準備以外ほとんど終わったので」


「んじゃ。とっておきの酒を用意しておくよ」



 エスメラルダさんはそう言って、食堂から去って行った。とっておきと言うことはラム酒あたりかな??


 ああいう度数の高いお酒……前世はともかく、今の私大丈夫かなあ?? この前アップルデニッシュ作った時は匂いでも大丈夫だったけど。



「さ、仕上げです」



 ガーリックフランス用のパンを焼き上げ、素早く生活魔法で乾燥させてから……どう仕上げていくかを決めることになった。



「このパンに塗っていくのかい??」



 エイマーさんはいいとこを突いてくれた。



「はい。真ん中に切り込みを入れて、間と表面に塗る方法や……縦に割って、断面に塗るとか」


「悩ましいね……チャロナちゃんのいた世界ではどちらもあるのかい??」


「はい。どちらも存在してました」



 だから……どっちにしようか、めちゃくちゃ悩んでしまうわけで。


 あーだこーだと、皆さんで話し合った結果。


 切り込みを入れる方に決定。


 多少匂いは軽減しているので、全員でひたすら塗った後に炙る意味も込めて焼けば。


 匂いに釣られて、悠花ゆうかさんや三馬鹿トリオがやってきてしまった……。

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