187-1.子供達の相手(メルクキス視点)
*・*・*(メルクキス視点)
正直言って、柄じゃねぇ仕事をしている状態だ。
「「「鬼さん、こちら!!」」」
今俺は……ちっさいガキ達の遊び相手をしている。
こんな事をしているのは……この街のギルマスの提案だ。俺や俺を含めるパーティーメンバー全員で……中央の孤児院でしばらく、ガキどもの相手をする依頼を受けた。
理由はひとつ。
王女として戻ったチャロナが……そう遠くないうちにここに来て、ガキらに料理を教えるのに来るらしく。俺やリーダーのマシュランは……あいつに謝罪するために、この孤児院にいる。
許されるかどうかだなんて、わかんねーが……罪滅ぼしとかだなんて、思ってはいけない。
(……あいつ、泣きそうだったしな)
こっちが一方的に追い出した形だから、恨まれても仕方ねぇ。
だから、せめて……ここでガキらの世話をしながら、待つしかない。具体的にいつかはわかんねーが、何もしないよりかは良い。
「「「手の鳴る方へ!!」」」
しっかし、ガキらの体力を舐めていた。
俺もまだ若いし、結構体力に自信があったはずだが……防具をつけていないのに、息切れが早い。魔獣らの戦闘とかとも訳が違う。
俺以外にもマシュラン達が見える範囲で倒れていた。
女二人はここのマザーに連れられて、食事の下ごしらえとかを手伝わされている。チャロナがいない今、俺達に足りないのは……圧倒的に調理技術。俺ら男も手伝わされたりしたが、メインはガキらの相手。
「おりゃぁ!!」
とにかく、今は俺達が捕まえる側だからか、ガキらは全力で俺達から逃げて行く。ちっこい体のどこにそんな体力があるかって思う……俺らも全力で相手するから息切れが凄い。
だが、ここで負けているわけにもいかねぇ!!
一番懐いてくれていたクラットっつーガキをメインに追いかけ、あと少しのとこでいきなり曲がったから……俺は正面にあった木に激突した。
「「「きゃははははは!!?」」」
たしかに……今のは間抜けだった。
それに、こんな雑な激突とか恥ずかしいったらない。
ふつふつと沸き上がってくる感情を堪えようとは思ったが、俺も限界だった。
「…………おーまーえーらぁああああ!!?」
ガキ相手にキレるとか、俺がガキだと思われるかもしれないが。
マシュラン達に呆れられても、俺はガキらを追いかけるだけ追いかけて、鬼追いを続けたのだった。
そして、思った。
チャロナは、料理とは言えこのガキらをどうやって懐かせたのだろうと。時々ガキらが話し合う内容が、チャロナが……いつ来てくれるかすごく楽しみにしているのだ。
一度、ガキらに頼んでレシピとやらを見せてもらったが……あいつがパーティーにいた時でも作ってこなかったものばかりだった。
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