171-2.愛の口付け
*・*・*
頷くと、カイルキア様からまた頭を撫でていただけた。
「……そうか。俺も同じだ」
私から手を離すと、カイルキア様は自分の膝の上で手を組んだ。
「…………えっ……と、その」
本当、なのかとか怪しい部分はあるけれど。私なんかを、想ってくださっているのが自信が持てない。父親である叔父様からも、きちんとカイルキア様の口から聞くようにと言われたので……今聞いてみるしかない。
色々あったけど、もうフィルドさん達から記憶の封印を受けることもないから。
「…………どれを聞きたい?」
私が言い淀んでいると、カイルキア様から提案があった。
びっくりして顔を上げてしまうと、カイルキア様は穏やかな笑みを浮かべていた。その表情を見るだけで、本当に……好きだとわかるくらい素敵な笑顔だ。だから、顔が赤くなるのをわかりながらも……私は口を開けてしまう。
「…………お出かけの時に」
聞きたい、知りたい知りたい。
もう私の口は止まらなかった。
「…………何か言いかけていらっしゃったのは」
「それか? 今ここで言い直していいか?」
「…………はい」
どうか、この不安を取り払って欲しい。
すると、カイルキア様は私の頬に手を添えて、真っ直ぐに私を見下ろしてきた。
「…………お前の不安は。以前だったら、俺との身分差だったかもしれないが。それは今解決している」
「……はい」
「それと、俺の抱いている気持ちは本心だ。疑わないでくれ」
「……わかりました」
そう言いながら、麗しい顔を近づけてきたので思わず、ぎゅっと目をつむるとおでこの方に柔らかい感触がした。
「昔はたしかに、義務感はあった」
目を開ければ、間近にカイルキア様の素敵過ぎる笑顔があった。
「だが、
「……カイル……キア、様!!」
嘘じゃない、真っ直ぐな本心だ。
とても、嬉しくて……嬉しくて涙が溢れてしまう。返事がしたいのに、うまく言葉に出来ない。えぐえぐしていると、カイルキア様は私の目元で流れている涙を軽く吸い、次に私の頬にキスをしてくれた。
「……都合の良い解釈に受け取るが?」
強い言葉なのに、口調などが穏やかで強制力を感じない。目を擦りながらも、ゆっくりとまぶたを開けると……カイルキア様との距離がさらに短いのがわかって心臓が持たなくなってしまった。
「わ……たし、も」
だけど、私も伝えたい。
中途半端な関係だなんて嫌だから。
「カイル様が……好きです。大好きです! 愛しています!!」
「……チャロナ」
そして、力強い腕で強く抱きしめてもらいながら、私達は温かい口付けを交わすのだった。
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