160-3.こちらの控え室では(シュライゼン視点)
*・*・*(シュライゼン視点)
今日のマンシェリーは、素晴らしく美しかった。
国中のお針子を集めて仕上げたドレスは良く似合っていたし、母上の形見だと内緒で贈った装飾品も良くはえていたしね?
そして、いよいよ俺や父上の本当の身分を明かし……マンシェリー自身も王族であることを知る時間が迫っているんだぞ。
お馬鹿な強固派の連中達にも、自分達が捕まるだろうと知る時間が迫っているとは思っていないだろうが。イシューをきっかけに、そこは根回ししているから大丈夫。
マックスの父親であるフィセルを筆頭に頑張ってくれているからね!
とりあえず俺は、玉座に行く前の父上のとこに行くのにいつもの執務室に行ったんだけど……。
「……ああああああああ!? あああああ、どうすればいいんだぁああああああああ!!」
英雄王だとも言われている父上が形なし状態なんだぞ。
マンシェリーにやっと父親だと名乗り出れるからって……緊張し過ぎなんだぞ!!?
せっかくの正装なのに、絨毯の上でゴロゴロしないで欲しいんだぞ!!
「落ち着かれませ、陛下。姫様はもうこの王城にいらっしゃいますぞ」
「なに!?」
「俺に全然気づいてなかったのかい!?」
どれだけ緊張しまくっていたんだか!?
俺に気づくと、父上は絨毯の上に立ち上がってからピシッと正装のシワを取ったんだぞ。
「……来たか。マンシェリーは予定通りに控え室にいるのか?」
「うむ! お針子総出で頑張ったドレスとあの装飾品が似合う女性になったんだぞ」
「……………………会いに行きたい」
「我慢するんだぞー」
「そうですぞ、陛下。国王陛下としての正装で姫様といきなりお会いになられましたら……神から何をなされるのかわかりませぬぞ?」
「……くぅ」
そう、今のところ……最高神は俺達に何もして来ない。
このまま何もあって欲しいわけにもいかないんだ。マンシェリーが、城に戻ってきたのだから。
俺も……兄として、あの子の前に立って驚かれるだけで済まない筈だ。
だが、神のせいで名乗り上げなどは出来なかった。
今日こそは、それが出来る……はずなんだぞ!!
「そろそろ式典のお時間です。陛下、殿下。玉座の間へ」
「ああ」
「うむ!」
神の対応も気にはなるけど。
今日俺と父上は。
実に十六年振りに、マンシェリーに家族と名乗り上げれるんだ!!
お馬鹿な強固派には邪魔だなんてさせないんだぞ!!
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