154-1.誕生日会①
*・*・*
ちょっと、大変なことになっちゃった。
なんとなく、忘れていた自分の誕生日を知られただけで。
次の日、つまりは今日だけど。
仕事もマナーレッスンも全部お休み。
ただし、朝ごはんを食べた後は、呼ぶまで部屋から出ないようにとメイミーさんに言われてしまった。
単なる誕生日なのに、なんか大掛かりにお祝いしていただけるようです。
「……そんな大したことじゃないのに」
『しょんなこちょないでふ!』
「ロティまで張り切っちゃって……」
『でっふでふ!! 大事なこちょでふ!!』
ロティは、私がトイレ以外で部屋から出ないように見張り番を任命されたのであった。
わざわざ任命しなくても、下には行かないのに……。と思っても、気にならないのは嘘。
まるで、小さな子供がパーティーの準備を覗きに行きたい気分にはなっていた。
だから、暇ではあるけど。ワクワクドキドキしていて。
とりあえずは、今日まで貯まったコロンの振り分けなどをしていたら。
だいたいお昼ご飯前の時間帯になったら、ノックの音が聞こえてきた。
「チャロナちゃん、いいかしら?」
ノックの主はメイミーさんだった。扉を開けたら、メイミーさんとアシャリーさんがいて、アシャリーさんは黒い大きな箱を抱えていらっしゃった。
「はい。まず一個目のプレゼントはメイド一同からよ〜?」
「え、プレゼントですか!?」
もう? と思いながら、アシャリーさんが抱えながら包みを開けてみると。
出てきたのは、薄紫のドレスだった。
「私達が急いで作ったものだけれど」
「ええ!?」
一日でドレス仕立てちゃうだなんて、なんてチートなんですか!?
「さあさ、着替えましょう? 素敵に仕上げて、パーティーに行くわよ!!」
「はーいはい。チャロナちゃん、中に入って〜?」
それから、あれよあれよと、ドレスに着替えさせられて。髪も顔も綺麗にさせられてしまい。
靴まで用意されていたので、若干ぎこちない歩き方にはなったが。魔法陣で一階に向かい。
陣から出ると、カイルキア様が待っていらっしゃったのだ。
「チャロナ、今日の主役はお前だ。俺がエスコートしよう」
好きな人から、ちょいハニカミ笑顔を見せられたんだから、心臓がバクバクしないわけがありません!!
けど、会場まで連れて行ってくださるようなので。私は緊張しながらも、差し出された手に自分の手を重ねた。
そして、食堂ではなく外に出ると。
『『『チャロナ/ちゃん/さん!! お誕生日おめでとう!!』』』
「チーちゃん、おめでとうぉおお!!」
全員正装までとはいかないが、お屋敷中の使用人さん達だけでなく。
シュライゼン様やカイザークさん。
アインズさんにお師匠様やフレイズ様。
ローザリオン家の皆さん達までも。
私なんかの誕生日を祝うのに、やって来てくださったのだった。
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