148-1.狭間で神と






 *・*・*










 おやつが終わったら、今日は午前中にマナーのレッスンをやったので。


 夕方までは、魔法訓練。


 レイ君の結界で守られた悠花ゆうかさんを、どれだけ動かせるかとか。


 魔法の発動時間をどれだけ短く出来るか、とか。


 とにかく色々。


 冒険者としての生活に戻ることはもうないと思っているけど、出来ないことを出来ないままにするのがいい。



「は〜い、休憩!」


「ふぇ〜……」


『でふぅうう!』



 なので、休憩用のお供に収納棚から取り出したのは。



「あら? チョコクロワッサン」


「うん。食べるタイミングなかったから持ってきたの」



 だから、一人一個ずつだけ持ってきたので、悠花さんやレイ君にも渡してあげた。



「いいのん?」


「もちろんだよ。あ、皆には内緒ね?」


「やったー!」



 いただきますをしてから、かぶりつくと。






【PTを付与します。



『サクサク濃厚チョコクロワッサン』



 ・製造50人前=1000000PT

 ・食事一人前=1000PT



 →合計1001000PT



 レシピ集にデータ化されました!



 →レベルが35に上がりました!




 次のレベルまであと567877000PT



 】



【ナビレベルが8になりました!




 ただちにアップデートを開始します!




 次のナビレベルまで、あと7000000PT




 】








 濃厚なバターの香りと味わい。


 チョコのトロッとした食感。


 自分で作ったとは言え、夢のようだと思っていたら。


 悠花さん達が居なくなって、私一人だけ暗い暗い空間に立っていた。



「……ロティ? 悠花さん? レイ君?」



 呼んでも誰もいない。


 私一人だけが、この空間にいるようだ。


 だけど、不思議だ。


 この感覚が、初めてじゃない気がするのだ。



「ちゃーろな?」



 ふいに、呼ばれた。女の子の声。


 誰だろうと、振り返ったら薄い金髪が綺麗な女の子だった。


 見覚えがあるんだけど、誰だろう?


 向こうは私を知っているようだけど。



「……あなたは?」


「この姿じゃわかんないもんねー?」


「え?」


「いいよ。今はわかんなくて。もう少し……あともう少しで、君の将来のルートが変わっていくから」


「……え?」


「チャロナはどうしたい? カイルキアと一緒に居たい?」


「……な、ななな、なんで!?」


「私は知ってるよ? なーんでも」



 ふふ、って笑ってるけど。この子とんでもなことを言いまくっているんだけどぉ!?



「一気に言い過ぎだよ?」



 と、もう一人出てきた。


 中学生くらいの見た目だけど、真っ黒の髪と目もだが、服装も真っ黒。肌だけは異常に白い美少年。


 目が合うと、にっこり笑ってくれた。



「初めまして」


「はじめ……まして? 君は?」


「ここでのことは多分忘れちゃうだろうけど、聞く?」


「忘れる……?」


「ここは君の夢の狭間。僕らは、そこに入ってきた神々」


「かみ……さま??」


「見えないかもだけど、僕と彼女はね?」



 あ……たま、が混乱しそうになった。


 もしや、私に異能ギフトをくれた神様なんじゃ、と聞くと二人とも首を振った。



「それは、僕らの爺様達」


「私はこの子の妹であり、将来の妻。そして、君を助けるために目覚めた存在」



 神様って近親婚有りなんだー? と感心して明後日の方向に意識が飛びそうになった。

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