135-4.凡才(アーネスト視点)
*・*・*(アーネスト視点)
王太子殿下の下、パン作りの手順を教わったのだが。
これまた、普通の料理以上に難しく。儂をへとへとにさせるものだった!!?
「殿下……ぁ。パン作り、とは。こんなにも大変ですかの!?」
「そうなんだぞ、アーネスト殿! あの子はロティの魔導具で大量に作れるんだが……最初は手ごねだったそうなんだぞ」
「く……っ!? ポーションの大鍋作業とはわけが違いますな!! これは面白い!!」
そして、大事な発酵と言う部分を未完成である儂の
王太子殿下には、『これだ』と言う代物が出来上がったわけである。
儂にとっては、余計にねちょねちょして触りにくいと思ったが。
これは、あのふわふわのパンを作るため。
そう思うと、やる気が湧いてくるわい!!
「うーん。柔らかさとか膨らみ具合は、俺と爺やで作るよりはマシだけど。……ちょっと柔らか過ぎるんだぞ?」
「……であれば。やはり、ロティちゃんのように時間などが目に見える数字を浮かび出せれば」
「うむ! 時計の針とは違って数字が勝手に動いていく。それが可能となれば、生活用の魔導具にも大きく貢献出来ると思うんだぞ!」
「数字が勝手に……?」
王女殿下が使う、タイマーと言う
たしかにあれは、時間を測ってくれる優れもの。数字がどんどん小さくなり、終わればその時間分の調理となっていく。
ふむ、ふむ。と儂は更なる閃きを感じ取ったのだ!
「アーネスト殿??」
「殿下……儂はとんだ阿呆でしたわい!!」
「へ??」
「
魔石に頼りがちだった儂の盲点だった!!
ならば、魔法で時計のように表記すれば。
「うん。閃いたのはいいけど、アーネスト殿」
「なんですかの?」
「今はパン作りだから、あとで。パン生地は生きてると同じだから時間勝負なんだぞ?」
「お、おお! そうでした」
それから、白パンを殿下と作っていったのだが。
分割もだが、成形と言う工程も手袋をつけずに素手でやったので。
なんとも言えん、未知の体験をしたのだった。
そして、また発酵と言う作業を生地に施して焼いてみれば。
見た目は、儂も普段王城で食すような白パンが出来上がったのじゃが。
「「じゃあ……」」
ぱくりとひと口ずつ頬張れば。
結果はわかりきっていたので、儂も殿下もその場で崩れ落ちた。
「まだマシだけど……あの子には遠く及ばないんだぞぉ」
「……やはり、姫様は素晴らしい!」
知識があれど、最高域に達してたと思った輩がこの様だ。
あの方は、大したことがないと謙遜なさっていたが。普通の人間とかでは無理なのじゃ。
知る知らないだけでなく、血の滲むような努力を重ねていなければ、それを実現出来ぬと言うことを。
とにかく、スカスカで塩っぱいパン達をどう処分するか殿下と考えることになった。
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