133-1.中華まんシリーズ①






 *・*・*









 ホムラに帰国とまでは行かないが、饅頭作りの指導をするために来訪して欲しいと、あちらの皇族に依頼された件。


 すぐではなくても、復習と指導のために練習はしておいた方がいい。


 なので、今日のおやつはお饅頭にしたいところだけど。



「せっかくだから、肉まんも作っちゃおう!!」


『でっふ、でっふ!! でふぅうう!! にくまん!!』


「ロティも食べたいよねー?」


『食べちゃいでふぅううう!!!!』



 なので、出勤前に抽出エクストラクションでレシピ本に記入させてから厨房に持って行き。


 朝の食パンなどの仕込みが終わってから、ベンチタイムに時間をかけている間に。シェトラスさん達にも見ていただいた。



「……これが、マンジュウと言う料理なのかな??」


「正確には、私や悠花ゆうかさんの前世では人気だった蒸しパン料理だと思ってくだされば」


「ふむ。蒸しパン料理……」


「普通にホムラの作り方で作ってしまうと。甘過ぎる具材とべしょべしょの皮……パンの部分になるので」


「なるほど……。これを今日のおやつに??」


「はい! いいでしょうか??」


「構わないよ? 私もマンジュウは口にしたことがないから気になっていてね?」


『俺っちはマスター達と食べたことがあるでやんすー。チャロナはんが言うように、あんまり美味しくなかったでやんすねぃ?』


「私もあるが。きっと今のチャロナくんが作った方が美味しいと思います」


「頑張りましょう!」



 と言うわけで、生地にはドライイーストを使うレシピにしたので時間を置くのに。朝の提供と昼の下ごしらえが出来てから、まずは生地作りに取り掛かります。



「手で触れるくらいのぬるま湯に、調味料とかを入れて馴染ませるのに10分くらい置いておきます」



 その間に、ロティのフードプロセッサーで玉ねぎなどの野菜をみじん切り、肉餡部分の準備。こし餡用のお湯を沸かしたりなどなど。


 生地には小麦粉。薄力粉で大丈夫です。さっきのぬるま湯に溶かした調味料ごと入れて、ポロポロになるまで混ぜ合わせる。



「まとめるので、このポロポロした状態で大丈夫です。次に、まとめ終えたら……私ならラップをしちゃいますが。ここは清潔な布を被せるので大丈夫です」



 ホムラどころか、この世界にはまだラップがないもの。それと、生地が美味しくなかった原因はぬるま湯ではなく水で調味料を溶かしたことと、生地を寝かせなかったから。


 主食だから、早く食べたいのが仇になるわけで。お米の炊き方と同じです。



「2時間以上かかるので、この間にこし餡とごま餡を作っちゃいましょう!!」


「『「おー!!」』」


『でっふううう!!』



 ちなみに、ベンチタイムは冬場でなければ常温でも大丈夫なので。


 で、ホムラだとごま餡は白いんげん豆などをめちゃくちゃ甘くしたものだったけど。


 このお屋敷では定期的に小豆が収穫されるので、こし餡と同じ小豆を使用する予定だ。



「小豆を茹でたらこし餡用とごま餡用に分けて」



 ごま餡用には、ロティのミキサーに茹で汁少々入れて撹拌させちゃって。出来上がったら、鍋にレイ君が頑張ってすってくれた黒すりごまや調味料と一緒に入れて。


 火にかけたら、練って練って。


 出来上がったら、ちょっとだけ味見。



『うんまい!? 前にコクレンとかで食べたのより、段違いに美味いでやんす!!』


「ふふ、ありがと」


『これがマンジュウに……絶対美味いでやんすよ!!』


「そうね?」



 マザー・リリアンに教わった時は、この餡子ももっともっと甘くて食べにくかったけど。それが私のある意味お母さんの味だ。


 いつか、またあの孤児院に行く機会があるのなら。ちゃんとした味をマザーにも食べてもらいたい。


 そして、今の私は幸せだと、きちんと報告したいのだ。

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