主張シリーズ『好きな人だからこそ……』

「花火!なんなんだ、このタイトルは!」

「私に聞かないでよ!筆者コウキが『かぐや様は告らせたい』の新刊15巻を読んで主張したくなっちゃったんだから仕方ないでしょ!」

「いやいやいや、これにしたって俺らにこれを話させるのか!?正気か!?」


(微笑ましい幼馴染のやりとりを見ていたいが、それは自分が書いていると気付いてしまって「あ〜、僕って何書いてるんだろ」と迷走しているコウキ)。



 論題:『好きな人だからこそ、自分の全てを見て欲しい』Yes or No?



 ******************



「私は肯定派だね」

「おっ、奇遇だな。俺もだ。よし、この討論は終わり。さぁ帰ろう!」

「いや、確かにこの話題を早く終わらせたいのはわかるけれど、シュン君どう考えても否定派でしょ!」

「なっ……!なぜバレた!」

「え、だって……」

「……?」

「シュン君、私に隠し事してるでしょ?」

「いいいいやぁ?なな、なんのことかな?」


(はて、ここで気付いてしまった。ここのモノローグを僕本人コウキにすることで、三人称系の小説の練習になるのではないか?そう思い、モノローグに参加するコウキである!)


 シュンは花火の発した言葉に、戸惑いを隠せないでいる。


「いや、そもそも俺は花火のことなんとも思ってないから!」


 そう言いつつも、彼には確かに花火に隠していることがある。そして、この話が恋愛感情での好き嫌いの話をしていることに気づいた彼は、後ろめたさと恥ずかしさでつい嘘をついてしまったのである。


「え?なんでそんな話になるの?シュン君は私のこと好きでしょ?」

「はぁぁぁ!?何言ってんの、お前!いや、普段お前とか言わないけど!」

「いや、私だってシュン君のこと好きだし」

「ふぁっっ!?い、いや、そういうことはだな……、こういうところでは……」

「あ〜、じゃあカメラ回ってないとこでね」

「っ!?」


 一方の花火は、この話は普通に友達や幼馴染は抱く感情の話だと思っている。そのためシュンから見れば爆弾のような破壊力を持ち、かつ拷問のような感覚に陥っているのである。


 ……何書いてるんだろ、僕。


「だって、やっぱり全部知ってもらいたいじゃん?好きなら全部知っておかないと、人のことを本当に好きとは言えないもん」

「おおう、そうだな(もういいや、諦めよう)?でも、やっぱり知られたくない一面とかあるだろ?」

「でも、接していくうちに絶対に知ることになることだし。むしろ隠されてたっていうことに傷つくよ」

「いや、でもさ?例えば、例えばだけれど。お前の……す、好きな人がめちゃくちゃアイドルのグッズとかを集めて部屋が埋まってたら……。どう思う?」

「いいんじゃない?私もアイドル好きだし」

「いいんだ!?な、なるほど……。え、じゃあアニメとか漫画関係のは……?」

「いいんじゃない?好きな人が気に入ってるものなら、私も好きになれそうだし」

「そ、そうなんだ!?ふ〜ん?」


 俊は巧みにも年頃の女子の許容範囲内を見極めようとする。しかし、ここまでの対話を重ね花火が違和感に気づかないわけがない。


「ねぇ、シュン君」

「は、はいっ!?」

「もしかしてさ」


 ここで俊、最大のピンチが……!


「……恋愛感情での、好きとか嫌いの話?」

「……え、そうだけど」

「……」

「え?」

「今までの会話は忘れてぇ〜〜〜!」


 ピンチが、訪れなかった。むしろ、花火の方が赤面する羽目になるのであった。






 ……気になっている方もいるであろう。しかし、心配は無用である。俊が集めているのは、ラブコメ漫画であった。そのかわり、。この話題の後、俊には花火から『恋愛ますたー(笑)』の称号が与えられた。




……ほんとになにかいてるんだろ、僕。

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