第2話「彼我不明──ゴブリン」
ドスゥゥ──!
保安官補佐の背中に妙なオブジェクトが生える。
「ゲフッ……」「きゃああああああ!」
口から血を吐いた彼がそれでも馬車に乗ろうと──。
そして、
ガルムが伸ばした手を、なんとか掴んでいた腕にも……ナイフのようなモノが突き立ち──ブチ、ブチブチィ……──!
《ギィギィギィ!!!》
《ニンゲン───ニガスナ!》
《オンナァァァツカマエロ!!》
ブツンッ!
ガルムの腕には保安官補佐の千切れたソレだけが残り……。
目の前には醜悪な表情をした、
そいつらは、少女の髪の毛を引っ掴むと引き摺って行き。
残りの奴はガルム達を見上げると、
《オンナァァァァ!》
《ギギギギイギギィイイ》
と、ビリィを見て気勢を上げる。
「何か知らんが───」
ジャキリと銃を構えたビリィは嫌悪感を隠すことなく、
「そう言う趣味はねぇ!!!」
パパッパパパパパパン!!
とハイブリッドガンを乱射、今にも襲い掛からんとしていた醜悪な連中を撃ち倒した。
そして、ガルムも──。
「連邦保安官の目の前で誘拐とは、舐めてるのか貴様らぁぁああ!」
バンバンバンと、自慢のコルトSAAを
「ビリィ!」
おう、とすぐに応じたビリィが少女を担ぐと、目を白黒させているその子に構わず馬車に放り込んだ。
「出せ! オッサン!」
「ガルムさんと言え!」
ハイヤー! と、馬に拍車をかけると草むらを無理やり馬車を走らせる。
突然見たこともない空間に放り出されたが、地形が変わったわけではなさそうだ。
遠くに見えるのは確かに隕石孔の縁。
そして、大砲を並べた騎兵隊も見える。
近くでは散発的に発砲音が聞こえるが────。
あの醜悪な連中の声が次第に増えている。
《ギィギギィギ!》
と、言う声が───…あの蟻塚から響いているのだ。
「な、なんてことを……」
ポツリと耳慣れない声を聞いて顔を向ければガックリと項垂れた少女が涙を流している。
「ビリィ…何だか知らんが慰めてやれ。年は近いだろう?」
「へ…ガキは趣味じゃねぇよ」
……何言ってやがる──てめぇもガキの癖に。そうガルムは評したが、ビリィは少女を慰めることに
「ヘイ、ハニー。なぁ、どうしたんだい? ──何を泣いて、」
パァァン!!
「触らないで! あ、あなた達はなんてことをしたんですか!? ゴブリンが……ゴブリンをぉぉ!」
少女はハラハラと涙を零しながら自らを抱きしめていた。
ゴブリン??
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