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凜が住むパーク職員用住宅……だった廃墟にて――



「アンタまだ残ってたのね。他の皆みたいにさっさと出て行ったら?

ヒトが居たらまたセルリアンが増えるじゃない」


「手厳しいねー、カラカルちゃんは。

でもそういう訳にはいかないよ、復興までは無理でもパークに残ったフレンズの皆が平和に暮らせるようにしないといけないからね」


「アンタねぇ……、なんて良く言えるわね。

って言葉も出て来ないなんて今度は何を奪われたっていうのよ!」


「何も奪われてなんかないよ。仮にも錬金術師だからね、等価交換だよ。

そうやって得た “模倣する能力セルリアンのチカラ” があれば皆の手を借りなくても大丈夫だし、余計な感情のせいでセルリアンが増える心配もなくなった。これは良いことだよ。

だから安心して待ってて、カラカルちゃん」


言い終わるや否やカラカルに背を向け去って行く凜。

振り返ることもない態度は暗に“もう話すことはない”ということを示していた。


「何よ、一人でカッコつけて……気に入らないわ!

サーバル、アンタもそう思うわよね?」


物陰に隠れていたサーバルに同意を求めるカラカル。

強く握られた拳はその口調以上に怒りに震えている。


「そうだね。でも、凜ちゃんだってただカッコつけてやってる訳じゃないと思うよ?」


「……そんなこと分かってるわ。

気に入らないのは何もできないアタシのことよ……

ヒトより強いはずのアタシがヒトを辞めていく凜を黙って見てるだけなんて……ホント、ありえない」


「え?カラカル、全然黙ってなかったよね?」


「そういう意味で言ってないわよ……

まったく、アンタはアンタで放って置けないわ」


やれやれ、と肩を竦めるカラカル。

能天気なサーバルを前に多少は冷静さを取り戻したようだ。


「よし、決めた……例え凜の邪魔になったとしてもアタシなりに行動するわ。

サーバル、アンタも手伝いなさい」


「いいけど、具体的には何をするの?」


「まだ決めてないわ。

とりあえず、情報収集……かしら」


「えぇ……カラカルもあんまり私のこと言えないよね?」


若干の不安を残しながらも二人は荒れ果てた地に新たな一歩を踏み出した――

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