ミズホ⑤

朝起きてスマホをいじっていたら、ミズホが起きたようだ。


パッと見、かなりの二日酔いのようだった。


「おはよ。なにか飲む?」


「水」


俺はコーヒーカップにインスタントのドリップコーヒーをはめて、ケトルでお湯を沸かし、その後に冷蔵庫から水を取り出した。


「二日酔い?大丈夫?」


「うん」


またいつものミズホに戻っていた。


こんなに人格が変わるもんなのか。


酒って怖いな。


そう思いつつも口では違うことを発していた。


「今日も大阪いる?今日も店くる?」


「んーどうしよっかな。けど名古屋帰ってもすることもないし。」


不動産の審査の結果待ちだったため、まだ書類を取りに帰らなくてもよかった。


「ならまた軽く飯でも行こ。一旦着替えに帰るからまた後で合流しよか。」


ここ数日でミズホについてわかったことがある。


オムライスとかハンバーグとか焼き肉とか、ミズホは小学生に聞いた好きな食べ物ランキングの上位に入りそうな物が好きだった。


俺は一旦家に帰った。


家にはユカがいた。


もちろん会話はまったくない。


無視してるわけではないが、お互い無言だった。


向こうは気まずそうにしていたが、俺はユカが存在してないようにその空間を過ごした。


端から見たら最低な男と思われるだろう。


だが、この空間には端から見る人間は誰もいない。


家族や友達とも分断され、ホストクラブしか居場所がないユカは、そのホストクラブや俺からも見放されため、居づらそうな感じが前よりも増していた。


シャワーを浴びて軽くグダグダした後に、着替えて家を出た。


家を出た後に

「今日何時に帰ってくる?」


ユカからだった。


「わからん」


とだけ返し、俺はスマホを閉じた。


ミズホとの待ち合わせ場所に着いた俺は大阪で老舗の洋食屋に向かった。


ここならまあ好きな物はあるだろう。


初めての店だったが、ミズホは美味しそうに食べていた。


といっても、シラフのミズホは基本的にテンションが低いのでパッと見ではわかりづらかった。


ミズホはハンバーグセット、俺は日替わり定食を食べた。


まだ同伴して店に行くにも早かったので、喫茶店に寄ってコーヒーを飲んでいた。


ミズホは甘い物が好きなので、スタバにありそうな甘そうな物を飲んでいた。


シラフの時のミズホはまあ話が盛り上がらない。


というか、反応が本当に薄い。


怒ってるとか、機嫌が悪いからとかではないのを理解していた俺は特になにも言わなかった。


「なんで俺とご飯食べてるのにそんなテンション低いんだよ!」


と、客に怒るホストが昔いた。


「いや、テンションなんかその時の気分とかによるし、毎回テンション高くてもウザいだろ。」


と思ったが何も口に出さなかった。


シラフの時にテンション高くない方が俺も楽だったし、ありがたかった。


そんなことを考えつつ、喫茶店を出て2人で店に向かった。







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