ミズホ③
カナデさんの発言に対しては半信半疑だった。
ほんとかよ。
しかし、2回目の会計が良かったのも事実だった。
「名古屋から出たい」
「なら大阪おいでよ。知り合いの不動産いるし、引っ越しも手伝うよ。」
あまりごちゃごちゃ考えないでおこう。
次の日、ひとまずミズホを駅まで送った。
今住んでいる名古屋の家を解約するとのことだった。
よほど名古屋に嫌なイメージがあるのだろう。
何があったの?
とは決してこちらからは聞かなかった。
そんなこと聞いても、だらだらグチを言われるだけだ。
向こうから言ってきたなら仕方なく聞くしかないが、こっちから聞いてろくなことにはならない。
「とりあえず、今度一緒に不動産行く?また大阪おいでよ」
ミズホを名古屋に送った翌日、俺はコーヒーを飲みながらスマホをいじっていた。
「来週また大阪いく」
すぐに返事が返ってきた。
その日になった。
ミズホは昼すぎくらいに大阪に着く予定で、俺は駅まで迎えに行った。
そこからタクシーに乗って、昔の後輩が働いてる不動産屋に向った。
「お久しぶりですー!」
後輩は仕事が出来て、性格の良いヤンキーみたいなやつだ。
「久しぶり。言ってたミズホ」
軽くミズホを紹介した。
お互い軽く自己紹介をしていた。
ミズホは相変わらず人見知りを発揮していた。
「ごめんミズホめちゃ人見知りなんよ。慣れたら話すようになるから」
「オッケーす!とりあえず先にこの紙に記入してもらっていいですか?」
よくある希望のエリア、広さ、家賃なんかを書くアンケート用紙みたいなやつだ。
ミズホはスラスラ記入してった。
その間に女性の従業員がお茶を持ってきてくれた。
俺はお茶を飲みながらミズホが記入し終わるのを待っていた。
「はい」
いくら人見知りだからってそんな小声で言わなくても、と思ったがなにも言わなかった。
ミズホはこだわり強そうだなと思っていたが、何もなかった。
トイレ風呂別でミナミから近ければ何でも、みたいな感じだった。
後輩は4件、候補の物件をプリントして見せてくれた。
資料だけ見たところ、特にいやな感じのところはなかったらしい。
とりあえずその4つを全て見に行くことにした。
何でもいいと言われたが、さすがに若い女の子が探しているので、どれもこ綺麗な物件ばかりだった。
口には出してないが、後輩が勝手に厳選したんだろう。
仕事が出来る、というのはこういう所。
ミズホは4つのうち一番狭くて一番安い物件に決めた。
少し意外だったが、だからと言ってなにもないので黙って契約を進める二人を見ていた。
「必要書類が足りないのでまた来てください、審査は通しておきます。」
後輩に手を振り、不動産を後にした。
そのままごはんに行き、店に向った。
ミズホとの初同伴だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます