特別篇その2 GWも二人は間が持てない

5月1日、平成時代の流れは令和れいわへと変わった。世界で唯一の年号の変化に海外の政治家も祝福、日本の評論家や

内閣総理大臣などなど祝いの言葉の数々。

テレビに映る映像と音を

ソファーの後ろにあたるリビングテーブルに

朝食を食べながら観ていた。

向かいに座るのは母さん。俺の右隣は

最愛の妹の唯悧。

動物園で距離はなんとなく近づいた

由布一家。俺が作った朝食の献立は

卵の厚焼きとポテトサラダと

ご飯のシンプル料理。


「あなた達と、こうして新年号の日に

こうして一緒に食事しているなんて・・・

なんだか夢にも思わなかったわ」


母さんは、緑茶をゆっくり飲んでいた

湯飲みをテーブルに置くと穏やかな表情で

そう俺達兄妹を見て言うのだった。


「うん、わたしもそうだよママ。わたしが

この家に戻ってきた時にはあの時の時間は

無かったことに、悲しかったけど

お兄ちゃんや高野さんがこんな風にまで

話せるようになったよねぇ!」

「そうだな・・・でも唯悧、俺はとくに

なにもしていない。背中を押したのは

高野だし、唯悧だろ!」

「そんなことないよ。そうさせたり駆り立てさせたりするの上手いことと、

やる気を起こすのがスゴかった!

知らないうちにサポートする所がカッコいいとわたしは感謝しているよ」

「駆り立てるって・・・そんなこと起こした覚えがないんだけど。でも大抵は

唯悧の突発的な行動で明るくさせたのが

あのときは、一番の功績だろ」


あの笑顔の前では生きとし、生きるものは

皆は尊く、荒んで濁っていた心を浄化させる

女神の慈悲の力こそと、

俺は思っているのだ。だが、女神にこの

想いは伝わらなかった。


「ううん。お兄ちゃんの失敗しない

作戦があってこそだよ!」

「いや、それだけは絶対に違うと

断言できる!作戦というものじゃないの

実行して悉く失敗させてしるし」

「そんなこと・・・うん、あるよね」


ひたすら高評価の唯悧もこれだけは

違うのだと認めてくれた。おかしいなぁー、

心の底では褒めてほしいなんてバカな

事を考える俺がいる。


「そ、それを差し引いてもカッコいいよ!

例えばさりげない優しさとか

苦しいときは励ましが嬉しくて、

頭を撫でてくれると元気が120%!!

あと、予想外の言葉とか・・・えへへ」

「ゆ、唯悧・・・だ、大丈夫か?」

「うん、大丈夫だけど?」

「そ、それなら良かったかな?」

「フフ、お兄ちゃんなんだか変だよ。

まぁ、それもいつも通りなんだけどねぇ」


最近の唯悧と話せば話すほど明るくなってくるのだと、気づいた点となにか変化した

うやむやなの点。


「・・・あなた達。仲はいいことだけど

なんだかカップルみたいになっている

わよ」


母さんの言葉に勢いで言っていた今までの

言動を思い出していく。妹も俺と近い考え

したのか、瞠目して次に変化したのは

頬を赤らめていき、うつむき始める。

・・・な、なにこの甘酸っぱさ。

唯悧なんだか、すまない。また恥ずかしい

想いをさせてしまって。こんな兄と

仲良く思われるのがイヤなんだよなぁ。

俺はそう思われるのが誇らしいけど・・・

イヤイヤ、なんかおかしいぞ俺の思考よ!?


「あっ、今日は母さんはなにをする予定?」


強引に話題を終了を告げる関係ない話題に

持っていくことにした俺。

これを実行するに注意点は、不自然すぎない

話題と流れにしないことである。

失敗に失敗を重ねった結果、辿り着いた

上級話術の一つである。


「そうね、親戚や実家に戻ることかな?

あなた達も来る?」


母さんの実家ってことは、祖父母と会うのか

あの人達は、少し苦手のと外に出たくない

感情がまさり選択するのは・・・


「ごめんママ、今日はわたしとお兄ちゃんでゆっくり過ごす事を約束していて

だがら、行けない!ゴメンねママ」

「ゆ、唯悧。約束なんてしていないと

思うんだけど?」


そう一昨日や昨日を振り返ってもそんな

類いの言葉をした覚えがないのだ。

唯悧は、なぜか頬を膨らませ本気で睨んでいない、睨みを向ける。何て言うかその

窺えるのはどうして?などの疑問と悲しさが

伝わることであった。


「・・・もちろん!約束していた。

あー、忘れついた。受験生で遠く移動や

遊ぶのはなかなか難儀だから、俺と

休みを入れた勉強を行う約束していた。

唯悧は、俺と一緒に・・・・・えーと、

そう!嬉しかったからおそらく

遊びだって感覚だと想うよ母さん」


唯悧これで、良かったと視線を横に向けると

頬を以外にも赤く染めていく・・・なぜそうなったの?熱?熱があるのもしかして。


「唯悧もしかして熱があふのか?」

「ふぇ?そんなことないけど」


腰を上げ唯悧のひたいを手のひらを

当て次に反対の手で俺の額にも当て

熱を比較して測る。


「熱はない・・・か。ならどうして、

体調は大丈夫か苦しくは?」

「・・・・・・・・へぇ、う、うん。

大丈夫、平気、無敵」


目が右、中央、左と繰り返して泳いでいるが

本当に平気か心配になる狼狽していた。

隠しているのか、だとしたらなにが?

杞憂だと一蹴するのは、おそらく普通の兄だとそうするだろうけど、俺は自他共に

最近になって認めたシスコン野郎なのだ。


「でも、不安だしなぁ。後で病院に行こうか唯悧!」

「・・・えぇーー!?ほ、本当に平気だよ」

「だけど、自覚していない病気は

いくらでもあるわけでだし。よし、

決めたもう行こう!」

「うわあぁーー、ママ助けて!!」

「ハァー、ゆっくり過ごすことは

出来そうにはなさそうねこの家は」


ため息をつき不満を言う母さんは

どこか嬉しそうに口角を上げていた。

その後、唯悧と二人で診察場に行き

健康だとお墨付きをいただき安堵するが

帰り道に唯悧は、俺に不平不満をぶつけられ

ることになり、機嫌を損ねないよう

仰る通りと相づちを打つ。そして

理由を尋ねられ、最初は普通に話題を逸らそうとしたが・・・・・。


「お兄ちゃん誤魔化そうとしていない?」


そろそろ昼食の時間を作らないといけない

時間に迫っていたけど、それどころ

じゃない!妹の好感度を優先せねば

ならない。イヤ、昼食をなにするかも

大事だけど・・・大事かな?さておき

帰って決めたらいいことで、今はどう

くぐり抜けるかだ。


「ほ、ほら妹が体調がわるいと心配するのは

不思議じゃないだろ。」

「・・・そうなんだけど、なんか

納得できない。ねぇー、どうして

違うってあそこまで行ったのに信じて

くれなかったの」

「・・・そ、それは無理していたら

可能性も考慮した結果であって

気持ちまで考慮していなかったゴメン唯悧」

「・・・・・・・・うん、わかった」


これ、わかっていないの分かっただ!

唯悧まだ、納得していないのか。

まさか新年号の日に早々、妹が機嫌が

著しく悪いのは避けたかったけど、

どうしても心配なのは本当でそれを

全部、どうしても伝えれない。


「お兄ちゃんの考えが・・・よく

分からないよ」

「・・・唯悧が、無性に心配だから―っ!」

「・・・え?」


強く思っていた事をなぜ外に出るかな俺。

そう思いながらも言ってしまうのが俺の

性としか言いようがない。途中で止めるのも

お互いスッキリしないし、少しだけ

言っても気づかないだろう。


「そのだな・・・唯悧が一番大事だから

ここまで過剰に心配したんだと今になって

思う。大事だから嫌われるよりも

安全にいてほしいって考えるし

幸せに笑ってほしいって想う・・・

だから、嫌われるような事をしてでも

それを優先にしてしまうんだ!」

「・・・・・・・」


好きだからとか流石にいや絶対に言えないのでそこは一番大事と言い変える。

恋慕の意味ではなく、大事な妹と

それ以上でも以下はもちろんゼロだと

解釈してくれるはず。


「嬉しいけど・・・お兄ちゃん出来たら

その気持ちを・・・もっと言って欲しかったかな」

「え?それは別に構わないけど。

唯悧は、自分よりも他の人に優先するのが

あるのはたまに傷で、かわいいのに

慣れていないで」

「なんか、わたしの悪口になっている!?」


頬が赤く微笑みながら言ってきから

俺の必死に隠す感情以外があるとしたら

普段の言動とかさりげないしぐさや

残念なことにいい面しか見えない

俺の言葉だったはずだけど、

唯悧が不満そうに絶叫する。


昼食は母さんが作って俺達が帰るのを待って

くれていた。チャーハンとコンスープを

平らげると、母さんはそろそろ出掛ける。

俺と唯悧は玄関まで見送る。


「ママ、いってらっしゃい」

「いってらっしゃい」

「はいはい、いってくるわ。

あなた達も兄弟であまりイチャイチャしないように」

「な、なな、何を言っているんだよ!

するわけないだろ」

「そ、そそ、そうだよ・・・・・たぶん」


えぇー、唯悧さん。その最後の言葉は

誤解を招くからやめましょうぜ!


それから、母さんが出掛けると妹の唯悧が

俺に甘えてくる。・・・ドキマギするので

控えてほしいんだけど。

今は、居間で勉強中だ。右隣の唯悧は

突然こんなとんでもないことを訊いてくる。


「・・・お兄ちゃん好きな相手って誰?」

「ゴホ、ゴホ!?」


気道になにも入っていないのに咳き込んで

しまう。いきなり衝撃的な事を言うの?

唯悧の、表情を読み取ろうにも

顔はノートに向けていてよく見えないが

顔が赤いのは見える。さてどうしよう

好きな相手は唯悧だと、もちろん言えない。

ある意味、究極な選択だな。


「い、いないよ・・・」


もちろん伝えるわけにはいかない。

気持ち悪いとか嫌悪感が見たくないのと

・・・俺が好きな相手が現れるまで

伝えれない。・・・はたして唯悧よりも

好きな相手がいるのだろうか、いないなぁ!

いやいや、違うだろ捨てたつもりなのに

まだ掘り返してどうするんだ俺は!!?


「・・・・・そうなんだ」


唯悧は、安心したような残念そうな

声音で答える。唯悧の視線はノートに向けた

ままで。色々と考えすぎたけどこれが

素っ気ない答えが普通だよなぁ、うん。


「それじゃあ、高野さんとは

好きじゃないの?」

「よく、言われるけど恋人とかじゃなく、

唯一の親友だなぁ」

「・・・ふーん。それじゃあ・・・

金髪美少女を再現したような人は?」

「金髪美少女?」


誰だろうか。俺の友達は、高野と十時とときのみで

過去の自然消滅になった友達もそんな人は

浮かべてこない。


「わたしが誤解して・・・・・

お兄ちゃんの恋人だと思った人」

「あー、その人は十時の彼女さん。俺とは

友達の友達のようなものだから」

「・・・そうなんだ。・・・・・

それじゃあ好きなのは・・・・・・

じ、じ・・・実の妹は?」

「なっ――ゴホ、ゴホ、ゴホ!?」


またも気道になにも影響がないはずなのに

咳き込みが起きる。衝撃すぎるにもほどが

ある。唯悧・・・今、すごい事を言って

どうしたんだ本当に?


「だ、大丈夫、お兄ちゃん?」


咳き込む俺に背中を優しく叩く。その優しさが心にしみる。大袈裟だろうけど、

そう感じたんだから自分でもよく

わからない。


「あ、ああ。ありがとう唯悧」

「うん、どうもいたしまして・・・そ、

そうだった!お兄ちゃん実の妹は

好きなの!?」


唯悧は、まっすぐな視線を向ける。

実の兄にその質問は危険すぎる!?


「ゆ、唯悧!お、落ち着け。唯悧は

大切だけど好きって話は・・・・・」

「・・・・・あ、あわわ。

違う!そういう意味じゃなくて

お兄ちゃんの部屋の本に実の妹と恋愛

の本のことで、わ、わたしじゃなく

そういう本の登場人物の実の妹が

好きなのかだよ」


な、なるほど。理解した。でも唯悧の

耳まで赤くなって横を向けるのは、謎だが。

それはともかく、キャラを尋ねているのか。

それは・・・イヤ、アウト!完全にアウト。

それを実妹に実妹キャラが好きなんて

どんな変態野郎なんだ。


「お、お兄ちゃん早く答えて!!」

「は、はい!もちろん大好き・・・じゃなかったら、あそこまで揃って

いないだろうから」


・・・またしても、勢いだけで答えてしまった。俺ってこんなに猪突猛進だったかな?

次はどう否定して乗りきるかを――


「え、えへへ。お兄ちゃんは妹が大好き

・・・ですよ・・・・・」

「え?・・・えぇーと・・・・・」


俺の言葉に満面な笑顔と限界寸前の恥じらい

あわせていた。その笑顔と

俺の伝えた言葉で嬉しそうにしていたことに

信じられずこっちも嬉しくなり

悶絶しそうになる。


「やったー。長い道のりだと覚悟しましたけど、ゴールイン!もう次の覚悟は

デレデレしすぎないことかな?

えへへへ」

「ゆ、唯悧。もちろん好きなのは

フィクションの中であって唯悧には

一切そんな感情を向けていないから」

「へへ、・・・へ?わ、分かってたよ。

そんなことぐらい。」

「そ、そうなのか。だから安心して

ほしい!唯悧にはそんな感情はないから」

「・・・・・・・・うん」


不満そうに頷く唯悧の反応が怪訝になる

俺の心。いくら聞いても芳しい答えは

してくれなかった。

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