第19話エイプリルな兄妹のフール?

エイプリルフールの日での事だった。

つまり4月1日で年号が零和れいわ

決まった日に俺は妹とテーブルに向かい合い

夕食のカレーを食べていた。


ニュースは新年号の話題で盛り

上がっていた。


「お兄ちゃんなんだか、呼びにくい

年号だね」


「そうだな。でも年号を選ぶのは中国から

古典だったんだけど、今回は万葉集まんようしゅう・・・つまり、日本の古典から

取ったのは歴史的でスゴい事なんだ」


そう昭和も平成も中国の昔の本から

作られたが、その長い鎖を破ったように

進んだ・・・総理や専門家が熱く語る。


「ほぇー、やっぱりお兄ちゃん頭いい。

カッコイイ!」


尊敬と羨望の眼差しに俺は鼻が高くなる

心持ちでさらに説明は続ける。

最愛の妹にもっと誉めてもらうために。


「なんて、言ってもスゴいのは

年号の出典しゅってんつまり、

選んだ本の書かれているの選んだことだな。

梅の花のうたを選んだのと

長い歴史で古典から日本の年号を

決めたのはこれが初めてなんだ。」


すると、妹は困ったような辟易・・・

ような表情になる。あ、あれ?冗長すぎた。


「えへへ、ごめん少し難しかったけど

・・・えーと、つまり

日本の古典から年号にした!

それが初の日本の本から・・・・・・

でよかったのかな?」


頭を掻きながら恥じらい問う唯悧。

今日も天使は天真爛漫にかわいい。

ここまで、話が出来るようになったのは

先月の件が

切っ掛けで兄妹としての仲は急上昇。


・・・まぁ、思い出すだけで赤面どころでは

ないほどドキマギさせられたが。

そんな、話と食事を終え食器洗いをして

唯悧に渡し拭いて

棚に置くの連携していき、

それが終わればアニメを鑑賞する。

紅茶を飲みながら。


「・・・お兄ちゃん。このアニメを

見終わったら、ゲームしない」


「ああ、いいよ」


録画した三十分アニメの予告が終わり

リモコンで電源を切る。


一緒に座っていたソファーから、

俺にまっすぐな姿勢にどうしてか

正座する唯悧に俺も反射的に正座する。


これ・・・お見合いのような形に

場合によっては、告白のシーンにも・・・

いやいや、なに考えているんだ俺!?

視線が合うと、唯悧は頬を赤らめ

もじもじとする。


(・・・な、なんだか恥ずかしくなったし、

なんて言えばいいのか

わからなくなったぞ・・・普段の俺は

なんて言ったのだろう・・・・・)


あの時から唯悧は

ほぼ毎日のように一緒にゲームで

遊んだり、アニメを観たりとして俺も

嬉しかったけどスキンシップというのか

近づいたり触れるような事が無くなった

ような、距離が置かれたような

そんな気がしたのだ。


勿論もちろん、尋ねようとしたが

あることを頭によぎり想いとどめる。

兄が妹にハイタッチやもう少し近くにいたい

んなんて言えば変態じゃないかと。


かなりヤバめのシスコンじゃないかぁぁ!?

・・・本当に言うところだったから、

危うかった。


(シスコンでも俺は妹が大事な

シスコンを目指す。いまでも恋慕が

残っているのシスコンには回避しようと

俺はしているんだから・・・

なんだろう、結局どっちも危惧するような

想いじゃ・・・・・)


「お、お兄ちゃん!」


「は、はい!」


うつむいていた唯悧は、強い意思を

感じさせる瞳で赤くなる頬と上目遣いに

そんな顔され鼓動が高鳴り

戸惑ってしまう。


「今日がエイプリルフールだよね」


「そ、そうだな。でも午前中しかって

ルールだけどなぁ?」


「そうなんだ・・・その嘘を・・・・つい

・・・えーと、あのねぇ・・・」


言いにくいそうにする唯悧に俺は

根気よく待つ。唯悧の目は泳いでいた。

俺を見ては逸らすのスパイラルを。


「唯悧、言いにくいなら別に言わなくても

いいんだ」


安心させようと優しく微笑むのを頑張って

浮かべる。俺のおそらく拙い笑みに

効果はないだろうが・・・あれ?

一瞬、呆けたと思いきや――


「はわわぁあわぁ!?

・・・その、言う、言うよ絶対に・・・

わたしと嘘をついて参ったと言ったら

・・・負けのゲーム・・・・・

ハァ、ハァ。言えたぁぁ!」


縛られたかのようになった言葉を

言えたことに歓喜する唯悧。わるいんだけど

よく分からないんだその説明だと。

本人が喜んでいるし、それとなく

訊くとしよう。


「その嘘を言うのは分かるけど

どんなことをいう?」


「それは―――」


紆余曲折があったけど唯悧の説明に

段々と理解はできた。

相手を恥ずかしくなる言葉を言い耐えれば

次の人が回るの繰り返し。


限界なら降参を宣言して負けのルール。

シンプルでこの日らしいゲームだ。


「なるほど・・・面白そうそうだな。

それじゃあ、先攻は?」


「・・・わたしが先にいいかな?」


うつむきながら挙手し小声で言う。


「わかった。先攻は唯悧で」


「そ、それじゃあ。スー、ハァー・・・」


神に祈るような指を組む。そして

上目遣いで俺に熱い視線を向ける。

お、落ち着け相手は妹で妹なんだ!


「お兄ちゃん・・・わたし大好きだった。

再び一緒にいられるようになってから

大好きになったよ。

だから・・・恋人になってほしい」


・・・・・・・・・・・・。


「お、お兄ちゃん?」


はっ!ま、まさか思考が停止していたのか。

あの破壊力抜群の懇願と言葉は、永遠に

記憶として残しておこう!

唯悧の顔を見ると俺の反応に

不安なのか涙目になっていき

儚そうに不安をさせてしまった。


「わ、わるい・・・あまりにも

可愛かったから、って俺はなにを言って

いるんだ話だよな。はは」


「あまりにも・・・う、うん」


肯定し照れながらも

視線を逸らし微笑む唯悧。

なんだろうこの甘酸っぱさ。


「え、えーとつまり相手をデレさせて

降参させることが勝利条件なのか」


「うん・・・なんだか、下手な説明で

ごめんねぇお兄ちゃん」


シュンと自分の説明不足に落ち込む唯悧に

俺は頭を撫でる。


「そんなことない。一所懸命に伝えようと

していたじゃないか。

努力していけば、上手くなっていく

必ずなぁ!」


「お兄ちゃん!・・・うん。ありがとう」


全幅のない笑顔で返事する唯悧。

天使のような笑顔に俺はカッコイイ声を

意識して発する。


「唯悧は、俺の大事な人なんだから」


口を開きなにを言ったのか分からずに

目を見開き驚愕する唯悧。

そして、次の表情に俺は信じられなかった。


「うん・・・愛しているよお兄ちゃん」


ほっぺを赤くなり、微笑み告白を言う

唯悧の言葉に俺は・・・狼狽する。


(愛しているよ・・・うわあぁぁーー

嬉しい!嬉しさのあまりに空を

飛べる気がしてきた!)


・・・・・落ち着いた。まだ、クリアーに

ならない思考を無理に押し留める。

なけなしの正常していた思考を巡らす。

俺が発すると唯悧は、果敢に攻めてきた。

つまり作戦なんだ。これは嘘だと

分かっているのにドキドキが収まって

くれない。


そして、今は俺のターンなわけか。

なんとなくルールの流れが理解してきた。


「唯悧、俺も愛している!」


「っー!!・・・・・し、知っているよ」


効いた!ここで、ダメージを受けたようだ。

それから、顔を隠したい台詞の応酬が

続きお互いそろそろやめない?

なんて無粋なことは言わないほど

熾烈な戦いが続く。


「お、お兄ちゃん・・・わたしと

結婚してくりゃひゃいい!!」


全力で猪突猛進に告白敢行の唯悧の恥じらい

の姿に俺は膝をつく。


「がはーっ!!」イメージの喀血。


「くっ・・・まさかなんて威力がある。

だが、負けるわけにはいかない」


ぐっぐぐ、があぁーー。心で絶叫すると

立ち上がり俺は拳に力を込める。

今から言うことをとんでもなく恥ずかしいのでせめて、和らごうと力をいれたわけだけど

効力ほぼない。


「唯悧!俺はもっと大好きだ。

結婚なんてもちろんしたい!

手を繋ぎたいし、膝枕だってしたい!

それに一緒にいたい。

毎日、話がしたい!

毎日、笑いたい!

それに唯悧が幸せになってほしい」


俺は思い付くあぎりの告白を・・・

って、これは燻っていた想いじゃないか

かぁぁぁぁぁぁ!!?


勢い任せにガトリングガンのような

言葉の数々に後悔する。

全部、想っていたことだからこそ

精神が俺方がダメージが多すぎる。

唯悧の攻撃に耐えれず降服するだろう。


「お兄ちゃん。そんなにそこまで、

わたしを・・・はっ、はあわわわ。

ま、まいりましたーーー!!!」


言うが早いか、居間からドアを開き

廊下に走っていく唯悧。


「・・・勝ったことでいいのかな?」


敗走していく唯悧に助かった。

勝っても気まずいから本当に助かった。

エイプリルフールの嘘とはいえ

とんでもない告白を言ったものだ唯悧。

吐き出せばこの想いを捨てられると

想ったが弱まる所か強くなってくる。

俺はやっぱり、重度のシスコンだ。

このゲームに心の底から楽しくて

幸せを感じたのだから。





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