第4話デートじゃない!
妹様の華麗なるゲーム操作に
スゴイなぁと感心して次に
俺達が次に向かったのは映画。
「こ、これを・・・見るのか・・・」
「う、うん。
わたしの好きな映画なんだけど・・・
ダメ?」
上目遣いでよく見ると涙目で
頬は赤らめていた。
・・・恥ずかしいのは分かるけど
これは、勘違いしてしまう。
告白みたいで・・・好意を持っている
ように思ってしまう!
さ、さすがに俺は勘違いしない。
・・・少しは考えてしまったが
くっ、どう答えれば正解なんだ!?
この映画を一緒に観るのが恥ずかしいのは
分かる。分かるけど・・・・・
だって、映画のジャンルがこれは。
「き、き、き・・・兄妹の恋愛ものか。
・・・・・よ、よし観ようか!」
実の兄妹の恋愛映画に驚いたが
妹は、こういう所あるので
返事する俺はドキマギで仕方ない。
「う、うん!」
そうに答えられると
奥の方に封印した感情がまたも
外に出そうとする。
この感情は、間違っているんだ!
実の妹に好きだってことに。
「お兄ちゃんと映画なんて、久しぶりで
嬉しい・・・・・えへへ」
だけど、この笑顔を見ると感情は間違っても
選択は間違ってはいなかったと思えた。
ジュースを買って席に隣で座る。
周りの人は少ない・・・確か人気がある
アニメ映画のはずだけど・・・
その前に今この状況を考えたら
実の妹と兄妹恋愛映画を観るって・・・
どんな天目学的な確率だよ。
い、いや普通のはず・・・だよな。
始まるまで唯悧と話して
消灯していき上映が始まる。
『お、お兄ちゃん?』
大きな画面からメインヒロインの妹が
操作するロボットのコクピットから
出ると、必死に説得した兄の元に。
『エリーナ・・・いや、リナ!』
自分の量産型期待を失い決死の行動に
妹のマインドコントロールから解放して
妹の本当の名を呼ぶ。
『好きだよ・・・お兄ちゃん』
『俺もだ』
感動の再開、ハグをして、そして・・・
キスをする。
『俺がこの機体を使うからリナは――』
『ううん、一緒に戦おう』
『リナ・・・』
『わたしたち二人ならなんでも
できるよ』
二人の兄妹は、愛によりまたも
一つの戦争を終わらせ
いつもの日常以上のラブラブな生活シーン
が続け最後にキスして終わる。
(・・・今さらながら
なんて、映画を観たんだ俺はー!?)
内容はスゴくよかったよ。
でも、これリアルの妹がいる俺が
実妹と観に行くこれアウトだ!
映画の内容と現実は違うのは重々に
理解しているが・・・
もうなにが駄目なのか俺
わからなくなったよ!?
「・・・面白かったねお兄ちゃん」
「・・・そうだな」
妹も恥ずかしくなったのだろう。
そりゃあ、あそこまで観たいって
頼んだ妹がこの結果を想像できなかった
だろう。
たとえ、映画のように恋愛感動が一切なく
ても意識させずにはいられない。
映画から出ると喫茶店に入り注文を
済ませる。
「いい映画だったね・・・
お兄ちゃん」
「・・・あ、ああ。いい映画だったなあ!」
気のせいかいつもみたいな天真爛漫な
ではなく、
羞恥心に堪えて悶えているような・・・
って!俺はバカかぁ!
一瞬でももしかして好きなのかなんて
考えるんだ!
俺のバァカ、バカァーーー!!
「・・・なんだか、まるで・・・
映画のようだよね・・・
デート・・・・・みたいで・・・」
「っ――!?」
途中から蚊が鳴くような声で言う。
俺は、その小声でも聞き取れ
嬉しくなり、またも何度目かの高まる鼓動。
だからこそ俺は。
「・・・デートじゃない!」
「・・・・・え?」
「ほ、ほら!実の兄とデートごっこよりも
彼氏とかの方がデートしたいだろ唯悧も。
なんだか、俺なんかで
悪いって思っている」
そう、妹は俺をどこまでも
尊敬していて、頼って、
甘えられる唯一の存在だろうけど、
そろそろ妹のためにそのイメージを捨てる
いい機会かもしれない。
いや、兄として徹せねばならない。
「だから・・・こんなふうに甘えるのは
控えてほしいんだ」
辛い。
妹の悲しそうな顔が。
苦しい。
好きなのに距離を取る選択に。
願う。
妹の成長のために時には酷な選択を
しないといけない。
「・・・お兄ちゃんの・・・バカっ!?」
勢いよく立ち上がりそして、
走って去っていく。
周りは俺が泣かしたことに批判的な
視線を遠慮なく向けるが
そんなことはどうでもいい。
「・・・これで、よかったのか?」
自分に問うなんてどうかしている。
本当によかったのか、
早計すぎないかこの選択はしっかり
考えて言うべきでは。
・・・でも、俺に甘えすぎる所はある。
そこを直そうと想って
荒療治になってしまう。
(なんなんだ、苦しくって・・・叫びたい。
この想いは・・・・・)
またも奥に眠る感情が全て吐露しそうになり
なんとか抑え込めると
一人、俺は帰るのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます