在処

 誰も、せめて好きだと思う人達だけは、傷つかなければいいのに。柔らかい言葉で満ちて、しゃぼん玉のようにぱちんと消えるような。そんな、刹那的な世界がいい。何処へも行かないって、そう言い切れる世界なら。息苦しさも忘れられるのかな。他の何処でもない、確かな居場所が欲しかった。

 多分、君も同じだろう。


 時間は光のようなものだった。何かを忘れるための光。希望。辛さや生きていたことを忘れさせる、時間。そのために未来があった。君がいるって、それが絶対なら苦しむことなんてなかったのに。孤独は私の歯を蝕んで、徐々に食べることから遠ざける。生から遠ざける。全部、死に繋がるんだって。

 痛覚が憔悴し切ってるなんて、知りたくもなかった。

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