22


 青年はカイにわずらわしさをおぼえ、そのあまり、彼に衝撃波を飛ばした。しかし、カイは間一髪のところで回避し、その衝撃波は樹の幹をえぐる。


「危ないやないかっ!」


 青年は悔しそうにチッと舌打ちする。対してカイはプンスカと少し怒っている。


「女の子にそんなことしたらアカンで!」

「…当たろうが、避けようが、俺の知ったことではない」

「そんなこと言わんと…。っていうかなんでそんな拒否ってくるんよ!?」

「うるさいから」

「そんなんずっと前からやん?」


 カイはケラケラと悪戯いたずら気に微笑んでいる。そんな彼に青年は顔をムッとしかめる。


「…寄るな」

「なんでや?」

「馬鹿がうつる」

「馬鹿は感染症ちゃうぞ!うつるモンやったらとっくのむかしに兄貴は馬鹿になっとるわ!」


 カイはどこかほこらしげに胸を張る。


「貴様…、言ったな?」


 腹の底から発せられる、低くドスの利いた声音こわね。カイは青年を本気で怒らせてしまった。


「失せろ」


 ―――――――――――――。

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