花吹雪


 梅も桜も乱れ咲く、北寄りの海の街で。


 終わりと始まりの春が、今年もまためぐり来る――。


 僕の街は風が強くて、

 花を長くは留めてくれないから。


 今年は遅れぬように、君に逢いに行くよ。




【花吹雪】




 舞い散る光のかけら

 薄紅色に煙った

 細い道


 去りゆく背中を見送った

 花のふぶきの中で



 幾つもの別れを重ね


 再び巡る

 桜の季節


 同じだけの出逢いを抱きしめ

 早咲きの桜の下で

 ささやかな祈りを捧げた



 永遠に

 変わらぬものなどないけれど

 せめて


 この切なさを

 永遠に覚えていよう


 そうしてまた一つ

 僕が優しくなれるように



 そう さながら

 この桜の香りのごとくに



 



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