第4話 奈落の底から伸びる癒しの手への応援コメント
僕らに不思議に思われたことは、こんな粉砕された肉体の上に、まだ人間並みの顔がくっついていて、しかもその顔には、毎日の生命が生きつづけてゆくことである。
しかもこれは僅かただ一つの病院であり、ただ一ヵ所に過ぎないのである…。
今の世の中にこれほどのことがありうるものとすれば、一切の紙に書かれたこと、行われたこと、考えられたことはすべて無意味だ。
この世の中にこれだけの血の流れがほとばしり、幾十万の人間のために苦悩の牢獄が存在することを、過去千年の文化といえども遂にこれを防ぐことができなかったとすれば、この世のすべては嘘であり、無価値であると言わなければならない。
野戦病院の示すものこそ、まさに戦争そのものにほかならない。
レマルク「西部戦線異状なし」
第1話 護国の希望 マジカル・メディコへの応援コメント
友人は急に呻いて、咽喉をごろごろ鳴らし始めたのである。僕は飛び起きて、部屋の外へ転がり出て、「どこかに軍医はいないか、軍医はいないか」と訊ねてみた。
すると僕はちょうどあの白い上っ張りを着た人を見つけたので、しっかり掴まえて、「すぐ来てください。僕の戦友が死にそうです」
軍医は僕の手をふり離して、傍に立っていた看護卒に「一たい何だ」と訊ねた。看護卒は「第二十六号寝台。上腿部切断です」と答えたものである。
すると軍医は鼻の先であしらって、「そんな者だれが構っていられるか。おれは今日五本も足を切っとるぞ」と僕をわきへ押し除け、看護卒に向かって、「君見てやれ」と手術室の方へ駆け出した。
僕は憤慨のあまりに体を震わせ、この看護卒と一緒に歩きだした。看護卒は僕の顔を見て、こう言った。「朝の五時から、片っ端から手術どおしだ。堪ったもんじゃねえよ、今日だけでも死亡十六人だ。貴様んとこの分が十七人目だ。今日は二十人はいくだろう・・・」
僕は気が遠くなるような心地がした。急にこれ以上に責めることができなくなった。僕はこれ以上怒って文句を言いたくなくなった。そんなことをしても無意味である。僕はいっそもうこのまま気が遠くなって、二度と再び起き上がりたくなかった。
友人の寝台のところに来た。もう死んでいた。その顔は涙に濡れている。両方の目はまだ半分ばかり開いていた。