ツギハギセロハン
You are madness. 狂った頭で何を思う?
去った恋人は戻らない。私じゃ代わりにならない。
それでも実験材料にするぐらいなら、せめてその前に私の時を止めて。
油と鮮血に塗れた手で何を掬おうというの。
あの時から呆れてた。指紋のついた眼鏡をかけて、美について語られてもな。
この痛みはあれだ。両手いっぱいに画鋲を持って、そのまま握りしめたらこんな痛みだろう。
貴方が歳をとって、下の世話をしてもらうところを想像して、勝手に幻滅したあの日の感覚に近いかもしれない。
貴方の能弁の前では、客観的事実は全て覆され、貴方にとって都合の良い虚構がみんなにとっての真実となる。
でもそれでいいの? 嘘で塗り固められた生涯を送って、地獄でツケを払う貴方。想像するだけで可笑しくて堪らない。
そうなる前に、少しで良い。意味の無い駄弁をしようよ。私と貴方、二人だけで。
好きか嫌いかだけでは語れない私たち、面倒くさいにも程があるよね。償ってよ。貴方と同じくらい自堕落な私を、更にここまで駄目にしてくれたんだから。
バラバラになった貴方の心、セロテープで適当に繫ぎ合わせようとしたけど、ツギハギだらけになった貴方が恋しいから、このままで、もういいや。
何か食べなきゃ。ホットドッグで良い? マスタードはかける? かけない? 大丈夫、私に全て任せて。貴方好みの味にしてあげるから。
あの子の前で白い歯を見せて屈託無く笑う貴方、ニンニク臭い息を吐いてた昨日とは大違い。嫉妬なんてしないわ。ただ貴方が憐れなだけ。
(2019年2月3日 執筆)
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