ゴミ箱

ごこちゃん

もう一人の僕

家に帰ると笑顔の家族と後ろ姿の僕がいた

玄関に立ち尽くす笑顔のない僕

「どちらさまですか?」

という不思議そうな思いで声をかける母親

「僕です」

という返事に首をかしげる母親

「どなたですか?」

という警戒をするかのように声をかける父親

「僕です」

という返事にどこかへ電話をかける父親

僕は家を飛び出した

見たこともない街に迷い込んで、

近くのビルの階段を駆け上がって

屋上で飛び降りようとする

もう一人の僕が笑って僕を見送る

「僕はもう僕はじゃない」

その言葉で僕は飛び降りた

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