第19話 瞼を開き新しき想い綴り

いつまでもどこまでも寂しくて求めて

満たされず嘆いてそして諦めて去っていった

そんな日々が続いてそれを終わらそうとして

そんな優しさも言い訳すら滞って


朝日が間近にやって来ても遠くからライトが近づいても

見えないままのトリ眼で居続ける私


フィルターの掛かった薄闇の中で戸惑い

いつも目隠しの鬼を探し続ける本当はトリックスター


探しても見つからない背中あわせの樹木の元で

ついに逢うのはただ小さな蝉の脱け殻たち


ひと夏の生命燃やし鳴き続けるその声に

この年も半ば過ぎたとまた一つ

中指を折って数える


今日もまた新しい夜と新しい眠りが待ち望む部屋で

明け方までの声を求めてただひたすらに

瞼を開き新しき想い綴り君と君待つ

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