第6話 あなたへの想いが私の中で目覚めた時

あなたへの想いが

私の中で目覚めたとき


懐かしいセピア色した映画のように

ちょっと気障なセリフ口にしたくなって


慣れないタバコ弄ってみたり

鏡に向かって微笑んでみたり


そんな小さなしぐさ一つで

あなたを魅了できたらと夢想したり


時を刻む日時計が

午後の陽射しの陰を舫うとき


彼方の海の波の上で

ぼんやりと雲が漂って


私のキモチを知らないまま

ずっと遠くへと流れていく


きっと雨がどこかで降って


大地を潤し花を咲かせる


それは私の知らない土地で


新しい恋が生まれていて

新しい命の鐘が鳴って


ブーケが飛び交い微笑みが交わされて

新しい家庭が築かれていくのに似ている



そんなことに気づきながら


私はずっと部屋に篭り


積み上げたドライフラワーと共に

朽ち果てていく


想いだけでは人は生きていけないのね


解っていても動けない


太陽の陽は眩しすぎて

もう私の目は何も見ていない

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