第87話 元の時代へ

「お兄ちゃん、戻ろうか・・・」

「どこへ?日本へか?」

かすみは、首を横に振る。


「じゃあ、どこへ?」

「元の時代へ」

「豊さんは、いいの?」

かすみは、頷く。


「後は、お父さんに任せるよ。お父さんの本当の目的は、ご機嫌伺いだったから」

「そうなんだ・・・」

「お兄ちゃんも、見てみたい?ベルリンの壁の崩壊の瞬間・・・」

「いや、いい・・・」

かすみは、笑みを浮かべる。


「まあ、ベルリンの壁崩壊も見てみたかったみたいだけどね。

後、気ままに旅もしたかったみたいだし・・・」

何かと、大変なようだ。


「じゃあ、お父さんに連絡するね」

「ああ」


かすみは、コンタクトを取っている。


「お兄ちゃん、お父さん戻してくれるって」

「本当に?」

「じゃあ、手をつなご・・・」

「ああ」


1989年のアメリカから、現代のアメリカへタイムスリップした。


あまり、変わらない。

変わらないが・・・


「お兄ちゃん、家まで競争だよ」

「僕が、運動苦手なのは、知ってるだろ?」

「うん。だから競争」

あのな・・・


「勝ったら、ご褒美あげるから」

「いらん」

何かは、わかる。


「いつもとは、違うよ」

「何?犯罪行為じゃないだろうな」

「大丈夫だよ。よーいドン」


走りだした。


とても、追いつけない。

まっ、のんびり行こう。

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