第61話 近未来

その日は仕事が手につかなかった。

心配事があっても、仕事に持ち込んではいけない・・・


「社会人失格だな・・・」


そうそうに仕事を切り上げて、帰宅する。


「お兄ちゃん、お帰り」

「・・・ただいま・・・」

「どうしたの?怖い顔して・・・」

やはり顔に出ていたようだ・・・


「なあ、かすみ」

「何?」

「日本が壊滅するって、本当か?」

かすみは、真剣は顔つきになる。


「お父さんから、聞いたんだね」

「ああ」

かすみは、観念した様子で口を開いた。


「これは、あくまで私の時代から見た歴史でなんだけど」

「うん」

「2020年に、あの国が日本を襲撃してきます」

「戦争か・・・」

かすみは、首を横に振る。


「でも、それはたいした打撃ではなりません」

「でも、犠牲者が出るんだろ?大勢・・・」

「いえ、戦争による犠牲者は、幸い出ませんでした」

「本当に?」

不思議だ・・・


「日本も予測はしておいたようで、対策を練っていました」

「そうか・・・」

「街は壊滅しましたが・・・」

もう、戦争を知らない世代が多くなっている。


戦争の怖さを知らないのか・・・


「でも、一番の原因は、地震です」

「地震?」

「この時代にも危惧されている」

ああ、あの地震か・・・


「それにより、日本は真っ二つに分かれてしまいます」

「海が出来るのか・・・」

「ええ」

かすみは頷く。


「そこで、日本を別れたほうがいいことになり、

東京を首都にした、東日本と、大阪を首都にした西日本になります」

「名古屋は?」

「西日本に含まれます」

かすみは続けた。


「それにより、復興とかで大変になり、仕事をする余裕はしばらくなくなります」

「それで、アメリカに?」

「ええ、でもこれは私の時代の歴史ですから、変えられます」


「かすみ、ひとついいか?」

「何、お兄ちゃん」

「なぜ、敬語?」

「これは、真面目な話だったから・・・ごめんね、お兄ちゃん」


そのあとは、いつものかすみに戻った。


遠い未来より、近未来の幸せを考える事が出てきた。



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