第57話 けじめ

「全直し」

即答だった。


確かに、そう簡単にOKは出せない。

社長も、気遣ってくれるのだろう。


今回は、間は通さない。

即、社長に見てもらい、合否をもらう。

日本でも、経験しているが、悪いとは教えてくれても、

どこが悪いとまでは教えてくれない。


仕事とは、そういうものだ。

でも、そのほうが「自分はプロだ」という気がしてありがたい。


リンは、詳しくはわからない。


プライベートのビジネスは、わけるよう言われた。

僕も、そう思う。

でも、出来あがった作品を見るのは、不特定多数。


見びいきになるかもしれないが、かすみの意見も聞いてみる事にした。


「お兄ちゃん、いい?」

「うん、何でも言って」

感想を聞いてみたかった。


「お兄ちゃんのキャラは、確かに魅力的だと思う。でも・・・」

「でも?」

「今回の、テーマにはふさわしくないキャラじゃないいかな」

「ふさわしくない?」

もっともな、意見だ。


「私は、詳しくはわからない。でも、友情と勝利がテーマには、

弱すぎると思う・・・あっ、ごめん・・・えらそうに・・・」

「いや、いいんだよ。もっともだ」


確かにこのキャラクターたちは、ピントが外れているし、弱すぎる。


「おとなしすぎるのか・・・」


家には仕事を持ちこまない。

仕事の話は、これくらいにしておこう。


「お兄ちゃん、明日は休みでしょ?」

「うん」

「ピクニックに行こう。いい場所を見つけたんだ」

それは、楽しみだ。


翌日は、かすみとピクニックに行く事になった。






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