第100話
「盛大に噛んだ! 斬鉄見てたか? 盛大に噛んだ!」
「見ていたでござる、しかして、人の落ち度を見て爆笑するのはどうかと」
「そうですよ、ソーヤー、すみません、コージィさん、どうかお気になさらず」
ソーヤーがこちらを指差し腹を抱えて笑い始めてしまった、斬鉄さんとビアンカさんがすぐに注意して止めるが、未だに面白いのか笑っている。
「失礼、思いのほか緊張しているようでして、気を取り直しまして今回、集まっていただきありがたく存じます。皆様に集まってもらったのはすでに知っている通り、ここにいる僕も含めてのクランを結成する為に集まっていただきました、つきましては早速僕がクランを作成して勧誘メールを送ります、もし間違えて勧誘を拒否したらお手を挙げてください、再度メールを送らせていただきます」
そう言い切ったら早速、クランの作成手続きをする、作るだけなら一人でも出来るそこからどれだけメンバーを集めれるかが問題だ、まあ、今回は事前に集めておいたのでその心配は無い、クラン名はすぐには思いつかないし、僕のチーム名を入れさせていただこう。そして、勧誘メールを送れば、名簿はすぐに埋まっていく。確認よし次は……
「メンバーの確認が終わりました、クラン名はひとまず暫定で僕のチーム名としております、別案があるという方は後程、まずは今回のクラン作成した意味は探索を共同で行う事での効率化とその情報の共有をする事というのが総意かと思います、ので、まずは僕らが掴んでいる情報からお話しましょう」
「その件は俺達も当事者っすね」
「うんうん、今思い出しても、くやし~ってなる」
アイン君とたこやきさんの一言の後、僕はこの前の真珠や絢姫の事すべてを話す。
「真珠が盗られて世界がヤバい! 俺達で食い止めないと! って事でいいのかな」
牡蠣フライさんのがっつりまとめに僕は頷く
「それじゃ、それを踏まえてどう行動するジャン?」
「ふむ正攻法が何かわからないとなると、普通に倒せる相手なのもわからないし、海底都市の探索をすれば何かわかるかな?」
「多分そうだろうな、ただ、あのだだっ広さをこの人数は厳しくねーか?」
「それに、海の中は魚の魔物がたくさんで危険ですよ」
「そこは、ほら、気合とか根性とか探索者魂でなんとかするってなもんよ!」
「アイン、根性論じゃ解決できないことがあるよ、テストの点数とか」
「うっせー! 今、テストは関係ねーだろが!」
メンバーは自分の意見を交わしあうも、そこに建設的な意見は出てこなかった。
「うーっす、俺達からひとーつ、コージィの言ってる真珠、一つはここにあんぜ」
ソーヤーはそういって挙手しこちらを見るように言ったのちにインベントリから一つのものを取り出しテーブルの上に置く、それは確かに僕が見た真珠と同じ物だった
「は、外してきてるってどういう事だ! 話聞いてた!? そもそも石碑を読めば外さないだろ、普通!」
「あんな長文、更に言えば英語とか読む気にならん」
「右に同じくでござる、拙者、生粋の浪人で候」
「英語はまだちょっと勉強中で、読めなかったんですごめんなさい」
無学、ここに極まれるである。せめて、写真に撮って翻訳サイトとかでさぁ。
ちなみにリドルだが、素直に解かず扉の縁をぶち壊して突破したとか。
先人に対する礼儀もへったくれもないというものだ。
「まぁまぁ、今はそれよか、一つはこの手にあるってのをメリットに考えようぜ」
確かにキーアイテムを一つ確保しているというのはアドバンテージになるだろう。
「ふむ、これがどういう者か、調べれる者はいるかい?」
「それなら、僕が博物学と考古学があるので、調べてみます、ちょっとごめん」
そういって、手に取って見せる……考古学ではかなり古くにできた宝石って事しかわからない、だのにこれほど綺麗なのはどうしてかね。博物学は……普通の真珠とはどっか違うか……どっかってなんだよ、どっかって。観察してみるが……!?
「この真珠、MPゲージがある、現在は0ってなってるけど、1万はあるぞ」
「ねぇ、もしかして、その真珠のMPを元に戻してまた遺跡においておけば封印できるんじゃないかしら? あの魚を統べる王ってやつを」
「かもしれないね、問題はこの真珠にどうやってMPをチャージするか」
「回復系の魔法とかはどうでしょう? コージィさん使えましたよね」
「それでいこう……お、出来た出来た、使用したMPだけ回復するみたいだな、あ、でもどんどん下がってくな、チャージは一気にしないとダメとか?」
「もしかして遺跡に置いた状態じゃないとうまくチャージしないとか?」
「ありうるかもね、通達したいことがあるので、一度席に戻ってください」
僕達のやるべきことが見えてきたかな、そうなればチームで分かれていろいろしてもらおう。
「えっと、魚を統べる王の封印はこの真珠にMPをチャージしてまた遺跡に鎮座させれば出来る、暫定的にそうしようと思います、それをするためにクランをいくつかの班に分けて、探索を行っていただこうと思います」
まず一つ目のチームは銀老団、カントリーガールズ、コルポ・ディ・ヴェントの3チームからなるチームだ、コルポ・ディ・ヴェントが見つけた遺跡での実験と他神殿の探索をお願いする、道案内のコルポ・ディ・ヴェント、おそらくクラン内でもっとも戦闘能力に長けた銀老団を護衛に回復魔法持ちがいるカントリーガールズで組んでもらう。通称は銀組とした。
もう一つのチームは黄金料理研究会、あんみつ、セルカンド農協組合で組んでもらおう、こちらはまだ見つかってない真珠がある遺跡の探索や海底都市の全域の把握を担当してもらう、あんみつのピコさんがパズルや暗号が得意らしいので、遺跡のリドルもどうにかするだろう、黄金料理研究会もセルカンド農協組合も全員戦闘は得意なようなので、魔物も怖くはないだろう。こちらの通称は金組。
「僕らは何をすればいいじゃん? 大将。チームに振り分けられてないけど」
「私もチームに振り分けられてないわね、何をすればいいのかしら?」
「永花には、クランメンバーが集まって会議ができるクランハウス、そして、海を探索するにあたって必要な船の手配をしてもらいたい、資金はクランメンバー全員で折半としたい、みんなの協力が不可欠です、お願いします」
「船か! 芋焼酎さん、形は違うけど念願の船っすよ!」
「うむ、是非とも資金提供に協力をば、完成の目途が立ったその際には一つ要望を」
「私らも協力するよGの使い道が武器防具くらいだったから大分残ってるしね」
銀老団と黄金料理研究会はかなり乗り気だ、研究会は何を頼みたいのだろうか?
「えっと、私達は農業もあるので、資金提供はちょっとでもいいですか?」
「それは俺達もだな、土地代払えなくなると今後に支障がでる、すまんな」
「すんません、俺達もそこまで稼いでるわけじゃないので、ちょこっとっすね」
あんみつ、カントリーガールズ、セルカンド農協組合は前2チームより少なめ。
「おっけいおっけい、どうせ、賭博のあぶく銭、もってけ泥棒!」
「泥棒はあんたらでしょ、私からも提供させてもらうわよ、稼がせてもらったしね」
一番多く出してくれたのは、コルポ・ディ・ヴェントとサクだった、まぁ、彼らは僕と蓮さんの決闘の賭博で大勝ちしてたので、それもあるわけだが。
「僕個人は本当に少しで申し訳ない気持ち程度になるけど受け取って欲しい」
僕も手持ちのGを出すといっても、他メンバーと比べて個人なのでちっぽけだが。
「ほいほい任せてもらっていいジャン、それと蓮、武炎、飛、僕は銀組に入れちゃってジャン、船の買い付けとハウスの手配なら堺とエーイチにも出来るじゃん、任せたジャン」
「おっけいおっけい、任せなって、えーいっちゃんはクランハウスな、俺船で」
「ああ、任されたよ、クランハウスはどの町でも大丈夫かい?」
そういうので、永花の一部も銀組に。ちなみにクランハウスは王都かそれより前の地帯のどこかとした、ここにいる全員が王都より先の街全てを探索してるわけでもないだろうが、それらの地帯なら探索しているだろうと踏まえてだ。
「で? 私は何をすればいいんでしょうか? クランリーダー様?」
「ああ、サクは僕と一緒に水中呼吸薬を作る材料集めなんかを頼みたい」
「え? あれって、作れるの!?」
「さぁね、だが、作らなきゃGがいくらあっても足りない、頼むよ相棒」
後は自由解散、この後、一緒に狩りをするも、早速水中都市の探索にいくも自由とした。ちなみに僕はとりあえず薬草市場を、サクには外で薬草集めをしてもらうことにした。明日から忙しくなりそうだ。
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