第93話

 目の前が真っ暗だ……ああ僕は串刺しになって死んだのか。

畜生あの親衛隊ども、遠慮容赦なしとは見上げた忠誠心だ。

さて、だんだん光が戻ってきたそろそろ復活かなっと。


 そうして戻ってきたのは船の甲板、返ってきたのを見て、先に戻っていた三人が駆け寄り、無事を確かめる、まぁ、無事に帰ってこれてないわけだが、カーレッジも死んでるし、死んだときのペナルティは……うーっわ能力値とスキル半減か。

更にカーレッジ死んでるから友情のペナで半減どころの減少じゃないと来たもんだ。


「もしかしてコージィさん、アイツら相手になんかやったんすか!?」


 アイン君が死んで返ってきた僕へそうやって訪ねてくれば最期の一か八かを一部始終語ってやる。


「またあんたは無茶しちゃって、で、返りうちに合ってやられたと」

「結局ダメだったのかぁ、これからどうします?」


 サクに呆れられてしまう、そしてたこやきさんの言葉で僕らは唸りだす。

どうするとはこの後、まだ探索をするのかという意味もあれば。

あの石碑にある言葉を知ってどう動くかという意味もあるだろう。

 僕としてはもう諦めちゃっていいんじゃないと思う、だってどうしたもこうしたもないからね、このまま絢姫は真珠を自分の物にしちゃうんだろうさ。

で、魚を統べる王をどかんと倒しちゃうって所かな、絢姫が描いてる絵通りなら。

私的にはそう上手くいくとは思えないけどね。


「あんたはそれでいいの、あの生意気お姫様に泣き寝入り決め込むの?」

「ま、そうなるね、仕方がないよスキルも何もかも向こうが何枚も上手だ」

「なんか悔しいっす、なんかないんすか、あいつらをぎゃふんと言わせるなんか」

「ぎゃふんだなんて、マンガじゃあるまいし、何言ってるのさ、ばっかでぇー」


 そんなしょうもない会話でアイン君がたこやきさんと口喧嘩を始めてしまう。

喧々諤々、売り言葉に買い言葉、まぁ、どうせすぐに止むだろう。


「本当、どうしたもんかねぇ……」


 そう言って、座り込み、顔を伏せて考え始める。あの石碑通りなら真珠が欠けた今、時が来れば魚人を統べる王が復活する。

これは確定事項だろう(絢姫が心変わりすればまた別だが)


 そして問題はその王が復活した後、本当に世界は崩壊するのか否かだ。

僕は否だと思っている少し考えれば、自分の預かり知れぬ場所で世界を崩壊させる存在が出てきて世界は滅んでしまいましたここでゲームはお終いですなんて物を誰が認めれるものだろうか。


 王が復活した後も何かしらの方法で再び封印が出来る。そうじゃなくてもプレイヤーで一丸になれば撃破が出来る存在と思いたい。まあ、それらをするにもたった二人、今は四人だがそれでも足りるわけがない。絢姫の所や他のクランやチームの健闘を祈るばかりかねぇ。


「そう言ったあんたはいつだってどうにでもしてきたわよね、もう考え始めているのでしょう早く妙案を出しなさい」

「そうだったかな? いや、でも今回ばかりはなぁ」


 サクに妙に期待されているものの考えはまとまらない、考えるのを一度やめて顔を上げてみれば未だに口喧嘩をしている二人がそこにはいた。


「うるせえばーか! 俺に文句あるなら自分でチーム作れや!」

「いったなー! チームどころかクランだって作っちゃるからな! 見てろよー」


…………クラン?


「たこやきさん、それだよ! 僕もそれでいこう! 良い事言ってくれた!」


 このまま泣き寝入りするのではなく、彼女と同じようにクランを作れば対抗できる可能性が生まれる、僕なら出来るさ、いや、やってやるんだ!


「え、私なんか良い事言った感じ? いやぁ、照れるなぁ」

「たこやきの言った事って、もしかしてクランの事っすか、確かに作れれば絢姫にも対抗出来るっすけど、人集まるんすか」

「それは今からどうにかする、僕は死亡ペナルティとカーレッジの友情ペナルティがあるし探索できないし、クランメンバーに出来そうなのを当たってみる、三人は水中都市の探索に行ってるといいよ」

「ええ、そうさせてもらうわ、行きましょ、アイン、たこやき」

「了解っす、それじゃ」

「クラン作り、頑張ってくださいねー、それじゃー」


 そういって三人は再び船から海へと飛び込んでいく、というかさらっと仲直りしてないか、さてと、知り合いに片っ端から連絡入れるか。という訳で、まずは黄金料理研究会っと、芋焼酎さんにかけてみるか。


『こちら芋焼酎ですが、コージィさんですね、何か御用でしょうか』


 文字によるチャットが届いてくる、もしかして海の中なのだろうかと尋ねればそうだと返ってくる。あがってきてからかけなおす事にすれば。1時間ほどで上がるのでその後にお願いしますと言われるのでチャットを一度閉じることに。


 一発目は不発、まさか最初で躓くとは、いやくじけるな、それに後で話を聞いてもらえるはずだ、もう一つの方へ行こう次は銀老団だ。

さっそく、G.Gさんもといおじいさんに連絡を取ることに。


「もしもし、コージィ君かい、何か用事でも?」

「込み入ったお話ですので直接お会いしたいんです、チームにも関わりますので、出来ればチームの皆さんともお会いしたいのですが」

「なら丁度いい、船の食堂に皆集まってる、そっちに私達が行こうか?」

「いえ、僕がそちらへ出向きますので少々お待ちを」


 よしっおじいさんとひとまず会えるぞ、第一歩だな、船室を抜け、少し歩けば食堂はすぐそこだった、ご老人だけのチームは中々に目立つのですぐにわかり、席へ向かう事に、挨拶もそこそこにさっそく、今度クランを発足するのでと勧誘すれば。


「ふむ、私は入ってもいいと思う、他の皆はどうかな?」


 そうおじいさんが言えば、他のメンバーも構わない、丁度いい等と好意的に受け取ってくれた。なんでもあの広大な水中都市はチームだけでどうにも攻略は出来ないなと見定めて別のチームと同盟を結んだりもしくはクランへ加入しようかと考えていたらしい。


「クランメンバーは私らとsearcherの二人以外に予定はあるのかい?」

「今のところはそうですね、まだ当たってない友人がいますからそちらにあたる予定ですよ、声をかけれるだけかけて、集めてみるつもりです」

「ならねるも誘ってみてくれないかい。最近ねるもチームを作ってね。カントリーガールズと言ったかな、今回のイベントにも参加していて、チームだけじゃ無理だとも言っていた、私もいると誘えばいい返事を聞かせてくれると思うよ」

「そうですかカントリーガールズ覚えておきます、それでは、別のチームに話をつけに行こうと思います、メンバーが集まりましたら追って結成について詰める会議を行おうと思ってますので、その時に連絡いたします」

「ああ、クランメンバー集め頑張るんだよ、幸運の鼬に導かれん事を」


 G.Gさんがそういって優しく見送ってくれる、さて、次はどこに話をつけようか。

黄金料理研究会はまだ早いなソーヤーは……最後でいいだろう、さっき言ってたねるさんの所を当たるとしようかな? いや軍師殿やトーマさんもいるな、さて。

まあ、始まったばかりだ、じっくり探していくとしようかな。






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