71日目 警戒
ズズゥン!!
「……よし、おわり……!」
……解体しようかなー。
今日はどの部位を持って帰ればいいかなー。
どこは食べていいかなー。
「……ん? ……わたしに、なにか用?」
気配を感じて振り返ると、エルフの人たちがいた。
……なんか怖い顔してる……。
「ドルガバ、虎族の姫、プリンセ殿に折り入って頼みがある」
「……なぁに?」
「レイン様を連れ帰ることにご協力願いたい」
やっぱり、それ?
この頃何もなかったから、安心してたのに……。
「……いやだ、って言ったら……?」
「……無理に協力しろとは言わない」
え、そうなんだ?
「……じゃあ、いやだよ?」
「……了解した」
スッと木の影に消えていった。
「?」
なんだったんだろう……?
わたしが味方をしないっていうのはわかってたはずなんだけど……。
「……まぁ、とりあえずはいいかな」
猪を解体しようと振り向くと、消えていく瞬間だった。
「あ……」
ポリゴンが空に消えていく。
「……今日のご飯が……!」
許さない……。
「ということがあったよ」
「なるほど。そろそろまた仕掛けてくるという事ですかね」
諦めたと思っていたんですけどね……。
「でも、そうなるとこのお肉の量はなんです? さっきの話だとお肉のもとが消えちゃってたみたいなんですけど」
「……だから、もう1体狩ったんだ」
「にしては時間かかってませんね?」
「……思いついちゃったんだよね」
ニコニコと語るプリンセちゃん。
「大きな音を出せば獣ってエネミーはけっこう寄ってくるんだよね」
「それ一番やっちゃいけないやつじゃないですか!?」
「……これがね、実は動物たちは音を出すと逃げて、エネミーがくるから、やりやすいんだよね」
「……?」
普通の動物の方が狩りやすいと思うんですけど……。
え、違うんですかね?
動物だったら、お肉も消えませんし、かなり楽だと思うんですけど。
攻撃能力もあまりありませんし。
「……まぁ、それは人それぞれという事で」
「うーん……」
釈然としませんけど……。
プリンセちゃんがそれでいいならいいですけど。
エルフがどういった動きを見せてくるのかわからないですね。
プリンセちゃんに声をかけて私に情報がくるのは織り込み済みでしょうし。
私に警戒させる意味が分かりません。
もしくは、それが狙いだったりするんでしょうか。
とにかく、この頃気にもしてませんでしたから、ちょっとは気にかけましょうか。
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