ゲームは結局勝ち負けです

結局ちまちまと稼いでいたお金で勝ちはしたものの、ほくほく顔をしているのは他の4人という状況に俺は不満気な顔になるしかない。


「なぁ、勝ったのは俺でいいんだよな?」

「? はい。総資産はご主人様が多かったですね」

「そうだよな……?」


うーん。

俺はこういうゲームはかなり勝負に拘るほうなのだが、人生ゲームは楽しむことに重みを置きすぎて勝ち負けに重要性がなくなってるから勝った感が薄いんだよな。



リオンの家でニート生活を送ること2週間ほど。

特に急ぐ理由もないのだが、これ以上時間を置く理由もない。

ある程度旅をしてきた疲れも取れたことだし。

……これ以上ここにいたら次に行こうという気力もなくなってしまいそうだしな。


「というわけで、そろそろ行こうかと思うんだが、どうだ?」

「私たちは、ご主人様について行くだけでございますので」

「そうだったな」


この旅を終えれば、リオンはアンリさんの下で修業でもするのだろうか。

となると俺は3人を連れてどこかに行くことになるか。

と言っても、アンリさんのとこから離れたら帰りにくくなるかもだし。

あまり遠くにはいけない。

収入源も確保しなきゃか。


まぁ、とりあえずは全部終わってからだな。


「リオン、次のところは何日くらいかかる?」

「そうだねー。それぞれ領主の家が端っこ同士だからすぐだよー。1日もあれば絶対大丈夫かなー」


そうなのか。

あっけないな。

RPGとかだと最後だけ謎の遠さがあったりするもんだが、そういうわけにもいかないか。


「じゃあ、さっさと終わらせてしまうか」


最後もリオンに対して否定的だったはずだし。



「あぁ! 麗しきバンフリオン嬢! 遂に我が住まう場所へ来てくださったのですね!」

「……久しぶりだねー」

「私は招待を幾度となく送ったというのに! いや、しかし! そこもまたいい……」

「あ、あははー」


「なぁ、リオン。否定的じゃなかったのか」

「うーんとね、昔から大げさに私のことを好いてくれてるみたいなんだけどねー……。ほら、私ってそういうことに興味なかったからー……」

「なるほど」


今回に限ってはリオンが否定的なわけか。

恋愛とか何も興味ない人に執拗に迫っていたらそりゃ多少否定的になられても仕方がないだろう。

まぁ、その熱意が届くという可能性もある以上、間違っているとも言い切れないのだが。

今回は失敗例という事だな。


「さぁ、こちらへ!」

「あ、ありがとうー」


仰々しく自らが椅子を引いてリオンを座らせる。

その席は自らの隣の席である。


本来なら客人は家主の向かいの席に座るはずだろう。

ということは、それこそリオンとの婚姻を考えているどころか、ここで決定づけようと考えているのだろうな。

感情を視る限り、純粋な好意なのが救いか。

普通なら強引な手法を取りそうだからな。


うーん、しかし。

これでリオンが俺について何か言った場合俺はどうなるのだろうか。

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