合体はロマンだ

「だって、他の人と共闘しないって言う約束だったじゃないですか」

「いや、あんなくつろいでて誰も狙わないことある!?」


レインは屋根の上でご丁寧にシートまでひいて正座して見物している。


「あれを攻撃しないってどういうこと!?」


他の固まっている組や、周りの人たちも俺の方に来るか、魔法を撃っているだけでレインには見向きもしない。


「……わたしもいるよ」


屋根の向こう側からプリンセもひょこっと顔を出す。

なにしてるのかと思ったら手にサンドイッチ持ってた。

なんで食事中なんだよ!?

俺の分は!?


「……終わったら、あげるね」

「ありがとう!」


ちゃんと作ってきてくれたらしい。



ってかそんなことしてる場合じゃない。

時間がかかればかかるほど合流しちゃうんだった。

もう8人組が生まれてるし。


これ以上増えられたらヤバいからここから行こう。


「オーシリア、背中にのっとけ」

「うむ」


俺の背中にオーシリアがしがみつく。

この状態でなら、俺は小太刀を抜いたまま思うだけでオーシリアにどの魔法をどのように出せばいいのか伝えることが出来る。

これはオーシリアがやたらと背中にのってくることから思いついたのだが、多少重くなるだけでデメリットらしいデメリットがない。

オーシリア的には、大抵俺の正面側、つまり腕の中にプリンセがいるので逆らえず、仕方なく背中に回っていたらしいが、おかげでこれを思いついたので結果オーライである。


なんにせよ、合体はかっこいい。

と信じたい。

傍目には子供背負ってるだけだけど。


「行くぞ」


8人組にまでなると、ステッド・ファストで足止めするのも難しくなってくる。

複数人での攻撃ははまればけっこう強力ってことだな。

それもローテーションで出来るから負担は少ないし。


だから、ステッド・ファストは陽動のために使う。

進行を妨げるほどはなくていいから、やりたいことに違和感を持たせるくらいでいい。

例えば、足を踏み出す場所にちょっとした段差を作っておく。

普段ならちょっと躓くだけで、大したことにはならないのだが、戦っている最中に躓くのはかなり痛い。


「これで2人」

「気をつけて! 2人とも何かに躓いてやられてるわ!」


対応が早い。


「主、これで何人減らすつもりだったのじゃ?」

「半分くらい減らせればいいかなって思ってた」


やっぱりエイグがいると違うな。

戦闘能力もそうだが、頭の回転が速い。

こっちのやっていることを見抜いてからの対応が早いから困る。


「よし」


次は進行方向の膝のあたりに小さな塊を作る。

膝は通常どうやっても逆向きには曲がらないのでつんのめるが、そこをしとめる。


早めにエイグを潰しておいた方がいいと思って、これを最初に仕掛けたのだが、引っかかりはしたものの、抜けられてしまった。

体の使い方が上手い。


だが、すぐには理解が追い付かなかったようで、ヒット&アウェイで3人倒せた。

残り3人。


ちなみに、獣化している獣人族にはネコ科が逆関節なため、効かなかった。

そんな抜け道があったとは。

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