報酬は物品で

本当ならそのまま2周目をしていくつもりだったのだが、如何せん何を改善したらいいのか話がまとまらず、

結局は各人1日に1回ということになった。

反省点を1日考えて次に活かすためだ。

まぁ、確かにそう簡単に身につくものでもないと思うが、修正が遅すぎると不測の事態に対応しきれないからな。

どうにかしていただきたい。

具体的な改善策はないけど。


「さて、帰りますか」

「そうだな。ルーリア」

「はい?」

「これって給料出る?」

「あ、はい、もちろんですよ。お願いしてやっていただいているのですから」


やったぜ。

言ってみるもんだな。


「だが、ここは物での支払いをお願いしたい」

「どういうことですの?」


「ご飯下さい」



家に帰り着き、貰いに貰った食べ物を広げていく。


「……いっぱいもらったね」

「あぁ、これでとりあえず決戦まではもつだろうな」


あと1か月ちょっとか。

肉とか生鮮食品は定期的に貰うことで話がついたし。

これから毎日鬼ごっことかいう元気のいい小学生でもやらない苦行をすることになったことを除けばいい結果と言えるだろう。

衣食住の心配がないのだ。

これはでかい。


「……じゃあ、ご飯作ろうかな」

「僕もやります。リブレさんは休んでていいですよ。流石に疲れたでしょう」

「あぁ、そうさせてもらうよ」


精神的な疲労は少ない感じだが、それでも20回くらい街の中を動き回っているのだ。

足がパンパンである。

しかし、こっちに来た当時と比べれば俺も随分動けるようになったものだと思う。

自分を褒めたい。


そもそも家から出ていなかった俺が街中を走り回るようにまでなったのだ。

人としてかなり成長したと言えるのではないだろうか。

世間的には。

俺はどちらの生活も好きなので、あまり大差ないが。



「……これどうするの?」

「ちょっとわかんないですね。リブレさーん」

「んぁ?」


リビングの椅子の上でスライムと化した俺に声がかかる。


「これどうするんですか?」


そう言うレインが持っているのは鯛に似た魚だった。


「お、もう今日食べるのか」


そう、この世界に来てから全く見ることのなかった魚を俺は遂に手に入れたのだ。

俺は肉か魚かと言われれば肉が好きなのだが、日本人としては普通に魚が恋しくなってくるのだ。

俺は魚料理では鯖の味噌煮が好きなのだが、まぁ、鯖のようなものは見つからなかった。

しかし、俺の中でお吸い物にしたら美味しい魚ランキング1位の鯛に似た白身魚を見つけたのだ。


この国では魚を見なかった通り、魚を食べる文化がないため、調理方法がわからないようだ。

ただ、物怖じせずに持っているのは凄いな。

魚って何かわからなかったらちょっとグロテスクな見た目してないか?

鯛はそれなりに綺麗な方だとは思うが、アンコウとかだったらマジでグロいからな。

あれ深海魚だし。


「そうだな。俺が魚は調理するするとしようか」


俺にも特に経験があるわけではないんだけども。

まぁ、適当に文献から得た知識にはなるが、ないよりはましだろう。


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