困難は分割せよ
「ふ、はなからお前らが我らに従うとは思っておらんわ! いつでも降伏させてやるからタイミングを間違えないことだな!」
「ご丁寧なことで」
思ってないなら先制攻撃の1つや2つ仕掛ければ良かったのに。
コテンパンにやられてるんだから。
「先ほどのようにいくと思わぬことだな! 今回は戦闘に長けている者を片っ端から連れてきた! 人間の身でエルフにたてついたことこと、後悔するがよい! かかれ!」
長の息子さんの号令で周りのエルフが一斉に家へと殺到しようとし、見えない壁にぶつかって止まるのを余儀なくされる。
「な、なんだこれは!?」
ほんと、くだらない前口上なんて言ってる暇があるなら周りは奇襲の準備でもしてろよ。
俺は【
これで生半可な攻撃力しかない奴はこちらに近づくこともできない。
ちなみにこの頃気づいたのだが、ステッド・ファストの強度はシステムとして固定されたものではないらしい。
どうやら本人の技量か、レベルか、使用度か、まぁそんなものに依存して変わるらしいのだ。
結論から言えば、頑丈になっているのである。
キラに試してもらって、もちろんぶち破られたものの、前よりちょっと力が必要だったって言われたからな。
それでもちょっとだけだが。
で、いきなりなぜこの話をしているのかだが。
エルフ達が全く入ってこれない。
家は丘の上なので、俺とキラはもはや座って物理的に高みの見物である。
「キラ、これの外に出て戦うか?」
「いや、遠慮しておくよ。わざわざそんなことして疲れたくないしね」
「それもそうだ」
全く緊張感のない会話を続ける俺たち。
家の窓からこちらを覗いていたレインとプリンセも、プリンセが飽きて中に入っていったのでレインもそれについて行ってしまった。
どうにもならないと踏んだのだろう。
「で、リブレ君も気づいてるよね?」
「まぁ、気付いてるというか、そりゃそうだろうなって話だな」
「うむ、最初はなぜかと思ったが、そういうことだったのじゃな」
オーシリアも人間の姿に戻りながら会話に参加してくる。
「何をしているのです! 人間の障壁程度、壊してしまいなさい!」
「ですが、次期当主様! これがどうにも頑丈で……」
「他の部隊は!?」
「あ、それ俺が答えるわ」
エルフ達の焦った会話の中に俺が割り込む。
そろそろ打つ手がなくなってきたエルフ達の魔法もまばらになってきたので声がそのまま届くな。
「他の部隊って地下を掘り進んで来てた奴のことだろ? ちゃんとここの下まできているはずなのに、俺らのとこにも出てこず、入った穴からも戻ってこない奴ら。そいつら、地下に閉じ込めてるから」
言葉をなくすエルフ達。
「こんな立派な障壁をただ防御のためだけに使うはずないだろ?」
「横への移動が出来なくなっています!」
「こちらもです!」
「まさか……」
勘のいい1人が家とはが逆方向に走っていき、壁にぶつかる。
そう、俺は家を囲む壁と、エルフ達を囲む壁の2つを張っていたのだ。
もちろん上から逃げられないように天井付きで。
で、頃合いを見計らって分断し、それぞれを小さな小部屋に閉じ込めることに成功したわけだ。
唯一、みんなが集まって一点集中で魔法を撃たれたら破られるだろうと思ったからな。
そこもこれでクリアだ。
「で、息子さん。これからどうするおつもりで?」
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