装備は華美ではいけません

「ほんと研究も大概にしとけよ?」


なにに使うつもりだったのかは知らないけどさぁ……。


「大丈夫、大丈夫。ばれないようにするから心配しないでいいよ」

「いや、誰もお前の心配はしてないよ!?」


絶対ハンネこいつどっかにつないでた方がいいぞ。マジで。



「まぁ、気になる本かなにかあったらそれで撮ってきてよ。特に君らが読めないやつは確実にね。暗号とかになってる可能性があるから。あたしならどうにかできるかもしれないし」

「了解。どうせよくわからんだろうから、結構な量になるだろうけどそこは大丈夫か?」

「あぁ。撮れる量には際限ないから気にしなくていいよ」


メモリ無限かよ。強すぎる。



「では、キラ。リブレの装備を見繕ってあげてはくれんか? 男の方がよいじゃろうしの」

「仰せのままに。じゃ、行こうかリブレ君」


キラに連れられて兵士たちの装備の予備があるという倉庫へ向かう。

ちなみに残った面々は国民を逃がした後のことを話し合うためまだ残るらしい。


「でも兵士たちの予備装備とかに俺が着れるようなやつあるのか?」


この国の特色なのか、そもそも兵士とはそうあるべきなのか、がたいがいい奴しかいない。

つまり、基本的に全てのもののサイズがでかい。

それに、西洋系の世界観なので重い鎧が普及しているようだ。

線の細い俺がそんなもの着てしまった日にはその重さで一歩も動けなくなってしまうだろう。


「まぁ、あんまりあてはないね。色とかも選べないと思うよ」

「いや、色とかはいいんだけどさ……」


潜入とか身軽さが命だからな?




「いや、色にこだわりはないとは言ったけどさ……」


赤と金色のやつなんて聞いてないぞ!

今回は潜入だって言ってるだろ! 目だつ代表みたいな色使ってどうするんだよ!?


「僕もこの色はどうかとは思うけどね? リブレ君が身に着けられるものといったらこれしかないんだよ」

「キラの服みたいなのでいいじゃないか」


基本的に布で作られてるから軽いだろ?


「でもそうなると防御力に不安しかないよ? 僕は速さでどうにかしてるし、最悪やられても大丈夫なくらいには防御力はあるけど、君はそういうわけにもいかないだろう?」


そこを言われると辛いものがある。

なにしろそれは生まれ持ったようなものというか、ヘスティアさんにこう生きろと言われた次第なのでどうしようもないのだ。

鍛えればどうにかなるというものでもない。


「金属鎧になるのは仕方ないってことか……」

「うん。で、そうなるとこれしかなくなるってわけさ」


渋々着てみるが、

うわー、キラキラしてるー。


「こんなので隠れられるかぁ!」


光とか反射しまくってえらいこっちゃだろこれ!



「リブレさん、かっこいいよ……」

「うむ、主。中々に似合っておるぞ!」


ついてきていたプリンセとオーシリアふたりのようじょには褒められるが、


「今はそこじゃないんだよなぁ……」


なにしろ見つかったら問答無用で戦闘である。

どうにかしないと……。



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