空中に寝そべるのは人の夢

結局俺はステッド・ファストが俺が固定されなくて済むから上空への階段をオーシリアに作ってもらい、上へと退避した。

俺が足を酷使しながら考えていた策が無駄になったどころか、必死に逃げていた2時間近くも無駄になったというわけだ。


「いや、まぁ、いいんだけどさ……」


今、楽ができてるのは確かなんだし。

ただ、もうちょっと早く気づきたかったなぁ……。



空気の層にうつぶせに寝転んで下の様子を伺う。

こんな場所じゃなけりゃいい景色なんだろうけどなぁ。今度外で試してみよう。

骸骨はこちらに視線を向けているような動きはしているが、やはり遠距離攻撃はもってないようで下をうろうろするだけだ。

ほんとに最初からこれで良かったな。



「で、主よ。これからどうするのじゃ?」

「そうだなぁ。とりあえず、休まなくちゃいけないんだけど……」


MPの回復は必須だ。アグ・ラグでかなりのMP消費してるし、骸骨から逃げるのにもかなりのMPを消費している。回復しないままではいざとどめをさそうという時にも心もとないだろう。

ただ、今は相手のモーションのどこで攻撃を入れるのかを先に決めておきたい。

さっきまでは基本的に逃げてて、余裕があるときに攻撃するって感じだったが、本気で削りに行くとなるとそんな悠長なことは言ってられないだろう。ただでさえ攻撃力の低さには定評のある俺だ。

というわけでどこで攻撃するかは決めておかないと不安だからな。



「今のタイミングはどうだ?」

「いけるかの?」

「さっきの要領でずらしてもらえればいけるだろ」


オーシリアと一緒にどこならいけるかの話し合いを進める。


「あのモーションのあとは隙が大きくないか?」

「そうじゃのう。あの動きはあまり見らんが、大技なのじゃろうな。その分隙も大きいというわけかの」

「あぁ。あのモーションのあとには一発入れたいな。かなり動きも大きいし、余裕をもって避けときたいところだ」


ボスの各モーションに対しての対策が一つ一つ決まっていき、今までに見たことのあるものに対しての動きは全て決めた。

ステッド・ファストで閉じ込めているゴーストも出てくる気配はないし、チェーン・バインドで簀巻きみたいにされてるゾンビももはや動いてすらいない。

万全の準備ができたと言っても過言ではないのではないだろうか。



「よし、俺は寝る。そうだな……、8時間たったら起こしてくれ。あと、30分ごとにステッド・ファストで正面から止められるか試しておいてくれ」

「わかったのじゃ。しかし、そうなるとわしは暇じゃのう……」

「だから30分ごとに仕事やっただろ?」

「30分暇ってけっこうじゃぞ?」

「いや、お前杖だから。そもそも暇とかいう次元じゃないだろ」

「今のわしには意識があるんじゃぞ? ちゃんとそこを尊重せんか」

「そう言われてもなぁ……。じゃあ、俺が寝たら俺のMPの回復の仕組みを調べといてくれよ。満タンになったら多少使って骸骨にちょっかい出してていいから。それで我慢しろよ」

「むぅ……」


杖なのに食い下がりが凄い。



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