肉の生産効率ってひどいよね

「牧畜?それはなんだ?」

そう、この世界には牧畜という考え方が無かったんだ。なぜか農耕は存在しているのに対して、牧畜は広まっていない。おそらく、リポップがあるエネミーが存在しているから必要性が高くなかったんだろうと思う。しかし、どう考えても効率が悪い。ランガルだけならそれで賄えてたんだろうが、肉しか食べないドルガバの奴らに供給するには足りないにもほどがある。


「まぁ、簡単に言えば牛とか飼ってて、育ててから食用処理するってことだな。利点としてはいつどのくらいの量ができるかがわかりやすいってとこだな。土地だけはあるから広げれば量もカバーできるしな」

「なるほどな。だが、それのどこに俺たちの労働力を活かす場所があるんだ?」

「問題はな、より多くの作物を作らなきゃいけないってことなんだよ」

「…餌か?」

「その通り」

牧畜では、その動物自体の世話が重要なのは言うまでもないが、そのための餌づくりもかなり重要になってくる。なんかで見たことがあるが、肉牛で考えると、穀物10キログラムで肉1キログラムが生産できるらしい。つまり、かなり生産効率は悪いのだ。簡単に言えば、10人を養える穀物を1人を養うための肉にするというわけだからな。そして、その労働をランガルの人口でどうにかしようというのはあまりにも無理がある。そもそも自分たちの分を賄うのにぴったりな労働をしていたのだから。


「だから、そっちには自分たちの食料を育てるための作物を育ててもらいたい」

「俺たちがその牧畜?ってのをやるのは駄目なのか?」

「いや、別にできるのならそれでいいんだけどさ…。そっちに任せるとちゃんと育ちきる前に食べちゃいそうな気がしてな?だってほら、小さくても一応食べられるのには違いないしな?今はみんなが飢えてるだろうし。ちょっとだけ我慢してもらって牧畜が体系として確立されてからのほうが多くのものに肉がいきわたるんだよ」

「確かにそう言われちまうとな…。食わない保証はないどころか、食うという確信まである。それはこっちには任せらんねえなぁ。だが、それだけでいいのか?大したことない労働量に思えるが…」


「もちろん、それだけではないんだけどな。けど、農耕を甘く見るなよ。自分たちが食べないものを作るってのはけっこうきついもんだぞ」

「ほう、肝に銘じておこう。して、他にやることとはなんだ?」

「もちろん、協定の3つ目の街道を作るのを手伝ってもらうのさ。どれだけ食料を安定して生産できるようになっても供給が追い付かなかったらなんの意味もないしな。それに国交を樹立しても人の往来がなければその意味もない。街道の用意はむしろかなり重要なことになるな」


「そ、そこまで考えていたなんて…」

どっちかというとこっち陣営がより驚いてるな。どうした。

「いえ、リブレさんのことですから、ケモ耳っ娘をすぐに愛でに来られるようにするために街道を整備したいのかと…」

い、いやいや!もちろんそんなことはありませんとも!?そんなそんな国家の一大事業を私欲のために利用するなんてことは!?

「冷や汗が凄いですよ?」

うっ!

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