お得意様価格もたぶん店側のぼろもうけだよね
「で、明日から調査すればいいのな?」
「いやにものわかりがいいね。どうしたんだい?」
「迷宮に潜るより命の危険が少ないかなという判断だ」
「なるほどね。僕も協力するように言われてるから明日また来るよ。9時くらいでいいかな」
「時間ってどうやってわかるんだ?」
「教会の鐘がなるよ。どの音が何時なのかはすぐには覚えられないと思うけど……」
「そうか。そりゃ残念だ」
レインに聞けばいいか。
「じゃあおやすみ」
そう言ってキラが帰っていく。
そういえばあいつ部屋の窓から入ってきたな!
どうやって!?
いや正面から来ればよくね!?
「まあいい。寝よう」
朝、またレインがベットに潜り込んでた。
昨日は起こさなくて怒られたんだよなー。どうせ怒られるとは思うけどなー。
「おーい。レイン。朝だぞ」
「ぁ。ぉはようございます?」
なんで疑問形。
また現状を認識したレインの顔が赤くなっていく。
「待て。今日は起こしたからな?」
「そういうことじゃないです!」
昨日それで怒られたのに。
「さぁ、やってみようか」
まずは各店に聞き取り調査。ここではキラが大活躍。
「すみません。こちらの石はどこから仕入れていますか?」
「まぁキラさんじゃない!? そうねぇ。お国が商業ギルドに発注してくれているのを私たちが格安で買わせていただいてるんじゃなかったかしら? それより握手してくださらない!?」
「もちろん、いいですよ」
アイドルかよ。
ってか国が発注してんのか。
「とりあえず商業ギルドにもきいてみるか」
「こんにちは。国に発注されてる石ってなんなのか知ってる?」
「キラさん! えっと、食材の保存に必要だということしか聞いてないですけど……」
「じゃあなんの石なのかは知らないってことだね?」
「はぁ。なにかあったんですか?」
「いやちょっとした調査だよ」
「あ、そうなんですか。ところでサインもらってもいいですか!?」
「あ、はい。いいですよー」
アイドルかよ。
どうやら国民……あれ?
「ここって王国で良かったよな」
「そうだよ。ここを中心としたランガル王国だよ」
いや、だから名前安易か。
改めて、国民はただ肉が長持ちする石としてしか認識してないようだ。
ということは……。
「キラ。この詐欺は国のかなり上の方が行っている確率が高くなってきたな」
「そうみたいだね……。だけどなんのために……」
「レイン。わかるか?」
「え? えーと」
急に話を振られたレインが少し考えて、
「考えられるのは実権を握りたい、もしくは王を失脚させたいんだと思います」
「その根拠は?」
「普通肉の保存するための石を偽ったところで大きなことにはなりにくいと思います。ですが、もしそれが国が主導していたとすると話は別になってくると思います。責任問題に発展して、もしその石が人体に有害だった場合国として何らかの処置をとらなければいけないでしょう」
こういうのを聞くとやっぱこいつ頭いいんだと再認識させられるな。
「だいたいそれで当たりだろう。となるとやっぱり本人様に会って見た方が早いかなー」
あーめんどくせー。
「リブレさん。そんなあーめんどくせーみたいな顔しないでください」
よくわかったな!?
「あれ、キラは?」
「え? そういえばいませんね……」
やばい!
「レイン! 行くぞ!」
「どこにですか!?」
「決まってるだろ!」
王城だよ!
「このような真似が許されると思っているのですか!!」
遅かったか……。そもそもあいつに追い付けるわけないけど。
「この国を支える臣下として恥ずかしくないのですか!」
「一体どうしたのじゃキラ。冷静さを欠いておるぞ」
「調査のなかで今回の問題はこの中の誰かが意図的に行ったことだというのが明確になったからです!!」
それをみんなの前で言っちゃったら警戒されるだろ……。よっぽど頭に血がのぼってるみたいだな。さて、どうしたものか……。
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