初めまして、草月と申します。

　こちらの作品、「睡眠」が「競技種目」としてオリンピックに採用されたら……、という大変興味深い設定でしたので、読む前からかなり楽しみにしておりました。そしていざ読んでみたら読んでみたらで、読みやすい文章とレイアウト・「同調時間」を競うというルールで睡眠を見事競技に落とし込めている手腕・さらには強力なオチに楽しまされっぱなしでした。
　
　その中でもやはり、特筆すべきは最後のオチだと思います。ゲンキの、ミサトに対する恋愛感情と、睡眠とは切っても切れない夢という二つを見事に融合させた最後だと感じます。「胡蝶の夢」的発想自体はそこまで珍しいとも言えませんが、それを良い方向へと持っていく話型にはいい意味で裏切られました(笑)。

　ただ、読んでいて「SF要素よりは若干恋愛要素が強いのかな？」とも思いました。オチが秀逸なのと、想像力の豊かさに目が行っていて、読んでいるときは気になりませんでしたが、いざ思い返してみると科学技術による空想の描写はあまり見受けられなかった気がします。個人的には主人公の感情表現と恋愛に主軸が置かれている印象が強いので、ジャンルは「恋愛」でも問題ないかと思います。参考程度にお受け取りください。

　いろいろと述べてきましたが、こちらの作品は短編小説として十分に楽しめる作品でした！　ゲンキの恋愛が成就するといいですね　：）