雑多なメモとか、超短編とか

結城七

いつか書くかもしれないアルタイルとベガの話

 僕はA国の、彼女はB国の王族です。僕たちは、両国の友好の証として、幼少期を一緒に過ごすことになりました。


 僕は将来「彦星」になるそうです。


 彼女は将来「織姫」になるそうです。


 互いの国の象徴となる、大切な仕事です。


 しかし「彦星」と「織姫」は絶対に会ってはいけません。昔の偉い人が、そう決めたようです。


 だから僕たちは、手紙を送りあうことにしました。


「ねえ知ってる? 私たちの国の間ってとっても危険で、手紙の運び手がほとんどいないから手紙が届くまでに15年かかるのよ」

「僕たちが生きている間には、二往復くらいしかできなさそうだね」

「そのたった二通に、私はありったけの愛をこめるわ。あなたが好きよ」


 手紙の中のあなたに会えることを楽しみにしているわ。そう言って彼女は静かに泣いた。

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