第7話 ショタ好き変態女との出会い6
「す、すごい・・・」
ショタは思わずそう呟いた。
結果を見ればまさしくドクの圧勝であった。
目にも止まらない圧倒的な速さ、そして触れるもの全てを呪い犯す剣、誰も真似できないであろうやせ細った体を活かした唯一無二の戦い方、果たして彼女と対等に剣を交わせることができる剣士がこの世にどれだけいるだろうか。
「ふぅ・・・」
キンッ
ドクは禍々しい剣を鞘に納め一息つく。
地面へ沈む男たち、その中で一人傷一つ負わず立っているか細い彼女の姿は、どこか不気味で美しかった。
そんな彼女にショタは見惚れてしまった、
そう油断してしまったのだ、
よりにもよって一番気を抜いてはいけない彼女の前で。
瞬間、
ビュンッ
っとドクは恐ろしい速さでショタの目の前まで移動した。
「ヒィッ!」
突然目の前に現れたことに驚いたのか、はたまたその血走った獲物を見る目にビビッてしまったのかショタは小さな悲鳴を上げた。
一方のドクは
「はぁ・・・はぁ・・・さぁて・・・邪魔者もいなくなったし、これからお姉さんといっぱいいいことしようか・・・?」
高揚し頬を赤らめ、舌なめずりをする。
戦っていた時よりも息遣いが荒く、その両手はまさぐるような卑猥な動きをしていた。
襲われる
ショタは齢13にして自らの貞操の危機を感じた。
(に、逃げなきゃ!)
脳内に警報が鳴り響く、このままでは犯られると。
しかし、獲物を目の前にした獣がそう易々と逃がすわけがなかった。
「まぁ・さぁ・かぁ~、危ない男たちから守ってもらった恩人に対してぇ~、何のお礼もせず帰るなんて失礼なことぉ~、ショタ君はぁ~し・な・い・よ・ね?」
ギクゥ!
ショタは心臓を摑まれるような、そんな悪寒を感じ取った。
「そ、それは・・・」
ショタは言い返すことができなかった。
普通であれば13歳の少年が恩を売られたからといって、そのお返しとして変態にいやらしいことをするなどあり得ない。
だがショタはその生真面目さと、義理深さから断ることができない。
そう、ドクは会って一日も経っていない少年の心理を完全に読み切っていたのだ。
この子なら無理矢理頼み込めば、なんやかんやヤらせてくれる、と・・・
大人としてあり得ない、もはや最低の人間の思考である。
だがここにはこの蛮行を止められる人間はいない。
ショタは頼るべき人間を間違えてしまったのではないかと本気で後悔した。
恐怖心と恩返しへの責任感で心は揺れ動き、ショタは体を動かすことができない。
しかし、そんなショタに対しドクは一切の手加減をしない。
「そう・・・いい子ね・・・じゃあ・・・とりあえずそのかわいいお口からいただきまぁす」
迫る変態、いったいこれから少年の口に何をするつもりなのかわからないが、とりあえず舌があり得ないくらいうねうねと動いているのが見える。
この状況からなんとかして抜け出さなくては、そう思いショタはなんとかこの場を切り抜ける言い訳を必死で考える。
「え~っと・・・あっ!」
そして思い出す、そもそもの目的!
「そ、そうだ!ボクこれから伝説の『美乳』剣士を探さなきゃいけないんだった!お姉さんごめんなさい!今日のお礼は後で必ずするからボクもう行かなくちゃ!それじゃ!」
なんとか言い訳をしてその場からダッシュで逃げ出そうとする。
だが
ガッ!
そんな走り出そうとしたショタの肩を、ドクは恐ろしい速度で掴んだ。
「待ちなさい・・・?」
(ひぃぃぃぃぃ!)
ショタは恐怖でおしっこを漏らしそうになる。
されどもこのチャンスを逃せばもうショタの貞操に未来はない。
なんとかして逃げ出すために必死で弁明をする。
「だ、ダメなんです!一刻も早く『美乳』剣士を見つけ出さないとボクは・・・!」
必死の抵抗でなんとか振り払おうとするショタ。
(次にこの人がなんて言おうと絶対にこの場から離れる!幸いにもこの人、力は強くないみたいだしこれだけ必死にしてるんだし事情を察して諦めてくれるはず!)
そんな風に逃げる算段を頭の中で組み立てる。
しかし、次にドクから放たれたのは全く予想外の言葉であった。
「あ、その『ビニュウ』剣士ってたぶん私のことよ?」
「えっ?」
???????????
思わず混乱してしまった。
なぜなら、それだけはないと断言できるからだ。
『美乳』とはつまり、美しいオッパイということだ。
決して「貧相でかわいそうなくらい平べったい乳」ではない。
冗談でも言っていいことと悪いことがある、こんなオッパイが美乳のわけがない。
そんな訳の分からない怒りが生まれてくるほど、ショタにとっては滑稽な言葉に感じられた。
ショタの頭の中は、困惑、恐怖、焦り、怒りと様々な感情がぐちゃぐちゃになってしまい、
思わず頭の中に浮かんできた、普段の彼なら口にしないような言葉を、そのまま言ってしまった。
「いや、そのオッパイで美乳は無理でしょ。(笑)」
次の瞬間、ショタは鞘に納められたままの剣で思いっきり頭をぶん殴られた。
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