第6話 ずっと一緒

 目が覚めると、町のみんなとシスター達の心配そうな顔が見えた。ゆっくり体を起こすと、祭壇に横たわっていたのがわかった。

 あの後、意識がなくなってしまった私をシスター達が見つけ、看病をしてくれていた。

 みんなが私の名を呼び、喜んでくれた。しかし、私が一番会いたい相手の姿が、どこにもない。

そばにいたマスターが「メルちゃん……クラリッサは、どこに?」と問う。

「クラリッサは……消えちゃった。消えちゃった――。」

再び涙があふれだす。マスターが、私を抱きしめてくれる。みんなも私の言葉に落胆した。


 ゴ――――ン、ゴ――――ン……。

教会の鐘が鳴り響き、みんな不思議そうに顔を見合わせる。

「今誰か、鳴らしているの?」

「いいえ、みんなここにいます。それに、こんな夜中に鐘を鳴らすなど、今まで一度も。」

シスター達も、何が何だかわからず、首をかしげる。

“妖精の名を告げなさい”頭の中で声がした。

あの時聞いた声だった。

私はもう一度お守りを胸にかざし、目を閉じて、大切な相手の名を告げた。

「……クラリッサ。」

お守りが小さな光を放ち、私の付けているチョーカーのクリスタルと共鳴した。

 「お呼びで?」

聞きたかった声だった。会いたかった相手だった。

「あの方が、今日は特別な日だからって、一日だけ蘇らせてくれた……。メリークリスマス、メル。」

胸がいっぱいになる。私は満面の笑みを向ける。

「メリークリスマス、クラリッサ。」


 それから、私達は一緒に謝って、教会でみんなとクリスマスパーティーを楽しんだ。きらびやかな飾りもおいしいごちそうもないけれど、クラリッサが出してくれた、いくつもの魔法の灯が、私達を灯してくれる。


 「受け取ってくれる?」

私はクラリッサに、あのお守りを差し出す。それは、偶然にも黄色の小さな花だったのだ。

「本当はアクセサリーをあげたかったんだけど。」

「ありがとう、とても嬉しい。……大切にする。」


 その後、私達は一緒に眠った。もう離さないと、手と手をつないで。

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