アオの質問とナツの興味
人で賑わう広場の端っこで俺とアオは噴水を眺めながらベンチに座っている。
「あいつらのほうは一応順調らしい」
「そうなんだ」
俺はガルドからの返信を教えながらのんびりとする。
「さっきの話の続きしてもいい?」
「いいけど……あれ以上何を話すんだ?」
「恋愛について」
「ヒカリさんとでも話してたのか? まあ、興味はあるからいいけど」
恋愛ゲームとかはよくやるしな。
「たとえばなんだけど。たとえばね」
「おう」
「あたしとナツみたいな幼馴染……っていうかわからないけど、付き合いの長い2人がいたとする」
「ゲームとかではまあよくあるよな。自分でいうのもあれだけど」
「その2人の仲はまあ良い」
「仲がいいのか」
「ただ、男女の意識はない。それこそ小さい頃から仲がいいとか従兄弟みたいな」
「俺とお前とかがまさにそれだよな」
「うん。そんな人達が恋愛を意識する瞬間ってどんなパターンがあると思う?」
「関係性が変わるパターンってことか」
ヒカリさんと一体何を話したんだ。いや、でも今思い返してみると恋愛のバラードとかハマってる時期は、少しセンチメンタルと言うか思考がそっち言ったことも合ったような気もする。
いやでもここまでではなかったぞ。
しかし、ここで突き返してしまうのもよくはないよな。
「まあたとえばだけど、年齢を重ねた結果の恋愛感情の自覚をどっちかがするとかじゃないか?」
「そういう出来事があるってこと?」
「そうそう。たとえば、その親友的に思ってた異性の友達が告白してるところをみて、嫉妬してしまった。でも、この嫉妬は一体!? みたいな?」
ゲームからの受け売りだけどな。俺の恋愛知識は全部ゲームかアニメとかだ。
「やっぱりイベントが重要?」
「俺のイメージだけどな。他にもあるんだろうけど、結局はなにかきっかけありきだとは思うぜ」
「そんなものなんだ」
「そんなもんだろ。実はずっと隠してたけど好きでしたーとかじゃない限りは。だけど、それは今まで意識してなかったっていう前提から外れるしな」
「たしかに」
アオは何か納得したようにそういった。どうしてそんなことが聞きたかったんだろう。
「ところで話は変わるんだけど。昔、ナツが好きだったキャラとヒカリって似てない?」
「はっ!? あーいや、そういえばたしかにそんな気はするな」
「忘れてたの?」
「忘れてはなかったけど。さすがにリアル知人のゲーム内のキャラを昔好きだったゲームキャラと似てると考えることはないというか無意識に避けるだろ」
「ふーん。で、実際どうなの?」
「どうとは?」
「現実のヒカリを意識してないってことはともかく。ゲーム内でのヒカリに対してどのくらい可愛いと思ってるかみたいな」
「いやまあたしかに可愛いとは常日頃から思ってるよ。俺の好みには結構刺さる外見だしな。あとはアバターっていうかいろんな服装見てみたい……ヒカリさんには言わないでくれよ」
「わかってる」
少し俺をからかうかのごとく見慣れない表情でアオはそう言ってくる。そのせいなのかはわからないが、つい変なことを口に出していた。
「ただまあ正直最近は……いや、やめておく」
「気になるところで止めないでよ」
バッチリと聞かれてしまっていたらしく万事休すだ。まあ、俺とアオの仲だし多少怒られてもどうにかなるか。
「リアルでのお前のほうが気になると言うか。服とか前に買ってたやつ結局まだ見てないなってな」
「……え?」
「いや、この前もライブ言った時ちらっと新しいヘアピンつけてたりしてなんか意識してるんだろうなーって思って。ちょっと長い付き合いだからこそ気になりはするだろ」
なんか言ってて恥ずかしくなってきた。
「そ、そうなんだ……へえ」
「まあ、そんな感じだな。だから、ヒカリさんよかお前のリアルでのそれの理由のが知りたい」
「まあ……いつか教えるかもね」
「お前がそういうときはだいたい教えないときだけど……期待しておくよ」
「うん」
その後なんとなく沈黙の時間が過ぎていき、気がつけば集合の時間も間近となって移動を始めることになった。
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