第2章 夏樹は気づいて青葉は自覚する
EP1 鷲宮夏樹は少しだけ寂しくなる
新しい季節とイベント
夏服に変わったがジメジメした暑さの季節がやってきた。俺は日本は四季ではなくて五季なんじゃないかとたまに思う。
春から始まり夏に向かって走り出すのは待てと言わんばかりに梅雨という季節がやってくるんだ。そしてその梅雨が「よしもう行っていいぞ!」といった瞬間にクラウチングスタートで夏というカラッカラな暑い季節に飛び込むんだ。
「お前、なんで遠い目で外みてんだ」
席替えがあって窓際になってそんな事を考えていた俺に金田はツッコミを入れてくる。現在、昼休みで飯を食い終わって暇な時間で雨降る外を見ていた。
「いや、暇でな」
「遠い目になる必要なくね?」
「俺、日本って五季だと思ってんだ」
「何新しい言葉作ってんだ……意味がわからねえ」
金田はそういいながら俺の前の席に座ってくる。ちなみに俺の前の席はこいつの席ではないけど、他のクラスに昼はいってるから問題ないことを確認済みだ。
「きがつけばもう一ヶ月ちょっとたって青葉のやつ達とかもレベル上がってきただろ?」
「いきなりどうした金田」
「遠い目するよかマシな話題だろ」
「そうだけど。まだ、北に行くには早くねえか?」
「それはわかってるよ」
「それじゃあなんだ」
「来週大型イベント始まるじゃん。梅雨イベント」
「そういえば内容はまだ発表されてねえけどそうだったな」
「それ参加しないかってさ。ここまでレベルが行けばそこそこイベントのタイプにもよるけど楽しめるだろ」
「そりゃいいな。俺も基本的にコレクション系は好きだしな」
FCQにおけるイベントは色々なタイプがあるけれど、初心者にはきついこともたまにある。一例だと初級・中級・上級のダンジョンがあって攻略するイベントがあったが、初級のダンジョンでもリヴァイアスの西フィールドは安定して攻略できるレベルじゃないときつかった。
「2人で何話してるの?」
そんな話をしていると青葉が戻ってきて隣の席に座ってくる。
ちなみに青葉の現在の席は俺の2つ後ろだから隣の席ではない。俺の現在の隣の席は大川さんだ。
「FCQで今度イベントがあんだけど、最近のいつもの面子でやらねえかなってこと。青葉と俺と夏樹と大川とな」
「ふうん。まああたしは別にいいけど」
「そうか。大川にも聞いておいてくんね?」
「あたしが?」
「仲いいだろ最近」
「そう?」
「そうだろ。夏樹もそう見えるよな?」
「まあ、青葉にしてはかなり仲いい気はするな」
中学までは俺とかと一緒にいることが殆どで女子友達といるところは見た覚えがない。まあいないことはなかったんだろうけどさ。
「そ、そっか。まあ声ぐらいはかけておくけどさ」
「頼んだぜ。他に誘うか?」
「俺と金田だったらあいつら誘ってもいいけど……青葉とかいるなら4人でいいんじゃねえか?」
「そうか。じゃあひとまずは4人予定ってことで行くか。あ、今日は俺別のやつと約束あるんで」
「了解した。青葉は?」
「まあ、暇かな。買ったライブDVDは昨日見終わったし」
「じゃあやるか? この前欲しがってたやつの素材集めとかさ」
「……うん。まあ、夜にやる時は連絡するから」
「あいよ」
青葉を誘うといつもその場では返事もらえないんだよな。日本が四季であるか五季であるか意外での最近の疑問はこれくらいだ。
「あ、青葉ちゃーん!!」
「光莉。暑いから抱きつかないで」
「えぇー! ……ほんとだね」
「うん」
昼休みが終わりそうな時間になったころ大川さんは戻ってきてそんなことをしていた。これも最近じゃあ日常と言えるレベルに見慣れてきたな。ただ、そのせいか思い出したけど最近は青葉に音楽系のイベント誘われなくなったな。なんだかんだ好きだったから思い出したら寂しくなってきた。
今度は俺から見つけて誘ってみようか。いや、まあ女子通しで仲良いやつがいないと話せないことも多いし俺が振り回すもんでもないか。そういう関係でもないしな。
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