ゲームに集合
無事に金田が課題が終わって家に帰れた。
今日は特に課題も出てなかったからひとまず夕飯まではプレイができる。だが、少し帰りが遅くなったから夕飯の後にプレイしたほうがいいんじゃないかという考えもあるんだよな。
自分の部屋で着替えが終わってからどうするか考えていたらベッドの上に投げておいたスマホが震えた。画面を確認すると誰かからメッセージがきている。
『今日ってやるか?』
金田のやつからだった。
「まあやる予定だけど飯の後にするか悩み中っと」
そう返したら1分もかからずに再び震える。
『大川と青葉と4人で飯の後やらねえか? 俺が誘っておくからさ』
「大川のこと誘えるほどの関係だったのか。いや大川の交友範囲なら金田が混ざっててもおかしくはないか」
俺は疑問を自己解決しながら『了解。でもあの2人って始めたばっかで昨日多少やっててもレベル的にどこいくんだ?』と返信。
ずっとスマホに張り付いてるのか返信は早い。
『そんじゃあ、また適当に夕飯食い終わったくらいに連絡入れるわ。ゲームログインしてたらボイチャでもいいか?』
「いいぞっと。そんじゃあ、先に風呂とか済ませちまうか」
俺は最後に返信してからスマホは充電器にさして自分の部屋をでた。
風呂に夕飯を済ませたし明日ある授業の教科書にカバンの中身は入れ替えた。俺は置き勉はしていない人間だからな。だから一回ゲームして疲れてそのまま寝たら大惨事になったことがあるわけだけどさ。
「そんで、待ってるわけだが」
すでに俺はゲーム世界の待ち合わせによく使われている水神の像前で待機している。ガルドが商人でどこで何してたかわからない以上は一先ずリヴァイアスにきて待機してるんだが、一向に連絡が来ない。少なくとも俺がログインしてることはあいつにはわかるようになってるんだけどな。
「うん……どうすっかな」
ガルドはログイン自体はしてるみたいなんだよな。一応、こっちからチャットでメッセージは送ったんだけど反応はない。つまり何か忙しいか返せないなにかがある。
俺がそう思って視線を周囲とメニューで交互させていると見覚えのある姿を見つけた。
「あ、ヒカリさん」
「えっ? あ、いた!」
金髪ツインテールが目に入って思わず声を出していた。よく考えたら金髪ツインテールだけだと、かぶってる可能性あるよな。しかも初期装備じゃなくて、拳闘士装備に変わってたから本人じゃなかったらやばかった。今回はセーフだったけど気をつけよう。
「ガルドから呼ばれたんだよな?」
「そうそう。ここにいけば多分ナツくんがいるって聞いたから来たんだけど聞いてなかったの?」
「全然聞いてないな。俺はただ夕飯後に4人でやらないかって言われただけで、集合場所もあくまで有名所だからここで待ってただけで聞いてない」
「そっかー。まあ、私と合流できたしその選択は間違ってなかったみたいだね」
「そうだな。アオは?」
「さっきログインしたってメッセージはきたし、この場所は流石にわかると思うけど……」
そう話していると銀髪の女子が走ってくる。ただ、前に見たときとは姿が違って三角帽子をかぶって背中には杖を背負っていた。
「ごめん。遅れた?」
「大丈夫だよー」
「大丈夫だ。むしろガルドのやつが来ていない」
「ふーん。まあ、間に合ったならよかった」
この感じだと今日は前衛が俺とヒカリさんで、アオが後衛になるな。ガルドは俺が知ってる限り商人以外のクラスをほぼ育ててないはずだから実質戦力外だ。
「おーい、すまんすまん。情報もらってたら遅れた」
「情報ってなんだ……」
「いやな。今日どこいこうかなって考えてた時に掲示板でちょっと見た情報があってな。そいつに俺が話を聞きに行ってたわけだ」
「はあ……んで、今日はどうするんだ?」
「ズバリ! ランダムダンジョン攻略だ。モンスター少なめで素材採取ポイントが多めのランダムダンジョンが近くに出たらしい。難易度も低いからこのメンバーでも大丈夫だろ」
ランダムダンジョンの情報聞きに行くって律儀だな。掲示板でみたんなら直接いって存在しているかだけ確認すればいいだろうに。
「まあいいか。しかし、うーん……」
「どうかしたの?」
俺が唸るとヒカリさんが少しうつむいた俺の顔を覗き込んでくる。正直、その顔で至近距離で目が合うと心臓に悪いんだが。
「いやな。この感じだし、俺も育て途中のクラスに変えてこようか悩んでな」
剣士でいけば楽勝だし、二人のことも守れるんだろうがこれを機会にもうひとつぐらいクラスを育ててもいいかもしれない。
「いいんじゃない? 前から他のも育てたいって言ってたし!」
俺が答えるとヒカリさんがそういった。だが、その話ってヒカリさんにしたっけな。そもそも今日の昼休みより前だとろくに会話したこともないはずなんだが。
「うん? アオから聞いたのか?」
「えっ!? あ、う、うん。そうそう!」
「おい、アオ。なんかこう……恥ずかしいだろ」
「別にゲーム好きなのは隠してないんだから変わらないでしょ」
アオにはピシャリとそう言われた。そのとおりなんだけども、男子相手ならまだしも仲良くなったとこっちからいっていいかもわからない女子にそういう情報わな。女子のうわさ話とかも怖いってよく聞くし広がるらしいし。
「お前ら、俺を置いて仲良くしてるのはいいんだが時間も限られてるから早く決めてくれ」
「ガルドはそのままか?」
「俺は荷物持ちだと思え」
「……おう。じゃあ俺は変えてくる」
「じゃあ、西門で待ってるから急いできてくれな」
「あいよ」
俺はクラスを変えることに決めた。ずっと使ってみたかクラスがあるし、こういう初心に帰る機会って案外ないからな。俺は一度3人と別れてマイルームに向かう。
しかし、あの2人でゲームの話題で話すとして俺のクラスを変えたい話ってどんな流れで出たんだろう。
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