昔話のさらに未来の物語

末吉 達也

第1話 現代版〜桃太郎?

「昔話を『現代風にアレンジしたら?』どうなる?って1度は幼い頃に考えた人もいるのではないかなぁ?」

「そうですねぇ…ありますけど。」

「ところであなたは?」

「私ですか?

私はあなたの心の中とも言いましょうか…今まで、表に出て来なかった…疑問の神とでも言いましょうか…映像クリエイターとも言いましょうか…」

「はぁ、よく解らないのですが…ちょっと、いきなり声をかけてきて…ビックリするじゃないですかか?これから、外回りで営業先に行かなければならないので失礼するよぉ。」

「まぁ、深く考えないで下さいよぉ。ほらぁ、上映時間が始まりますよぉ。ほらぁ、座って、座って。」

「ちょっと、失礼じゃないかぁ?きみ?」

「すいません、映画館では静かにしてもらってもいいですか?」

「…、えぇ!ここは?」

「映画館です。」

「あぁ…すいません。」

「この状態では、大人しく座っていた方が利口なようですよぉ。」

「たくぅ。しょうがないなぁ…後で課長にどやされてしまうなぁ。参ったなぁ。」

「ちょっと、静かにしてもらえます?」

「あぁ…すいません。」

「ほらぁ、あなたの心で描いた物語が始まりますよぉ。」


では、早速、『桃太郎?』の話の始まり、始まり。



時は20××年…


お爺さんとお婆さんが神奈川県にある築40年以上経過した団地に住んでおりました。


『いやぁ…三階は辛いなぁ…エレベーターもないし、最近は子供たちも来なくなって参ったなぁ…』

『そうですねぇ?』

『最近は、年金も下がって、バイト生活で駅前の駐輪場のバイトだけでは食べて行くのもやっとだし、それに、ばーちゃんも腰が悪くて辛いじゃろ。』

『そんな事ないですよぉ。あなたの退職金のおかげで助かってますから…』

『そうは、言うけど、『オレオレ詐欺』に引っ掛かり先月、600万円振り込んでからはきつくてなぁ…』

『私も、その件は申し訳ないと思っていますよぉ。』

『まぁ、ばーちゃんは悪かない。これから、気をつければ良いって。』

『少し、節約しますかねぇ?』

『そうだなぁ…近所に業務用スーパーも出来たからたまには行くかなぁ?』

『ちょっと…待って下さいよぉ。家賃と光熱費に病院の通院費やらで今月は3千円しか残りませんよぉ…』

『そっか…仕方がないなぁ。正雄に連絡して少しは融通してもらうかなぁ…』

『お父さん…今は、少し厳しいかもしれませんよぉ。』

『何かぁ、あったのか?』

『実は、最近、コロナですか…あれになったみたいでねぇ…。』

『そっか…。なら、家に居るなぁ。』

『ちょっと、ちょっと、お父さん…流石に今は電話は良くないですって…』

『たくぅ。こんな時こそ、こちらから電話ぐらいしなきゃなぁ。』

『知りませんよぉ。』


『プルプル…プルルルルル…おぉ、正雄かぁ?』

『どうしたんだよぉ。突然?』

『今なぁ?かぁ~ちゃんになぁ…正雄がコロナにかかって大変だと聞いてなぁ。それで、電話した。』

『そうだよぉ…。何とか、熱も下がって良くなったよぉ。』

『そっか…良かったよぉ。ちゃんと、食べているのかぁ?』

『大丈夫だよぉ。ちゃんと、食べているし、最近は仕事漬けだったから久しぶりにコロナにかかって休みを取っているって感じだなぁ。来週には、仕事に復帰するよぉ。』

『そっか、そっか良かったよぉ。』

『ところでなぁ…実はなぁ…。最近、かぁ~ちゃんがなぁ。オレオレ詐欺にあってなぁ…600万円取られてしまってさぁ。』

『マジかよぉ。警察には被害届け出したのかぁ?』

『もちろん、出したけど…60万円程は戻ってはくるけど…何時になるかは…』

『そっか解ったよぉ。幸雄と百合に話して近いうちに、生活費と食料品持って行くよぉ。世話になっているからなぁ。』

『そりゃ、助かるけど…。幸雄はこれから大変な時期だから心配かけないでなぁ。』

『解ったよぉ。ところで、今は大丈夫なのかぁ?』

『今は、残り3千円くらいだなぁ。』

『ちょっと、ちょっと、母親に変わってくれ!』

『正雄かい?元気かい?』

『ちょっと、ちょっと、元気かい?じゃないだろ?オレオレ詐欺で600万円も振り込んだって?本当かよぉ?それに残り3千円って!』

『だってしょうがないじゃないかい?正雄が交通事故にあって、賠償金を払わなきゃならないって…。お母さんも動揺してて…』

『そっか、ありがとうなぁ。でも、それだけで済んで良かったよぉ。』

『少し高い勉強代にはなってしまったけど…何とか節約して乗り越えるよぉ。』

『実際のところ大丈夫なのかぁ?』

『大丈夫だよぉ。お父さんには内緒でへそくりをしているからねぇ?』

『そうなんだぁ。でも、来週ぐらいには顔を出すなぁ。後、食料品は当日には届く手配をして送っておくよぉ。』

『ありがとうねぇ。いつも、ありがとうねぇ。はい、はい。またねぇ。』


『お父さん、来週には正雄が顔を出すとは言ってますけど…少し、節約しましょう?』

『そうだなぁ。』

『では、節約の為に、山に行って芝刈りでも行って燃料の足しにもしてくるかなぁ?』

『そうですか。すいませんねぇ。』

『なら、私は水道代を浮かせる為に、川に洗濯して来ますねぇ?』

『そっか…』

『なら、行きましょう?』


あらぁ、キクさん、どうしたの?

たくさんの洗濯物を持って?

「川に洗濯に…」

「そうなんだぁ…川?に洗濯に?

あぁ?川西コインランドリーねぇ?行ってらっしゃい。」


『さてぇ、相模川に着いたわぁ…

よし、よし、誰もいない…

さてぇ〜っと、昔は小さい時にやったなぁ…

今は、誰もいないのかぁ…

まぁ、節約して、少しは暮らしを楽にしなきゃなぁ…

最近は、爺さんの下着も汚れるようになったなぁ…まぁ、寒くなったからだなぁ…

洗濯石鹸…たらい、洗濯板を用意して…っと

ゴシゴシ、ゴシゴシ、ジャバー、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴシ、ジャバー、ゴシゴシ、ゴシゴシ…』

『あらぁ、何かしら、桃?桃?桃!!

大きいわぁ!』


『よし、よし、これで、大丈夫ねぇ?』


「あれぇ、おばあちゃんは川で洗濯してるんだぁ。写真撮っても良い?」

「かまわないけど…これはあげないよぉ。これは、じいちゃんと食べるからねぇ?」

「へぇ、桃なんだぁ。えぇ、すごいけど…本物なのぉ?」

「これだけ大きければ、美味しいに決まってるでしょ?あたしは忙しいから、行ってちょうだい。まだ、洗濯しなきゃならいからねぇ。」

「はぁい、解りました。頑張ってねぇ。」

「お姉ちゃんも頑張ってねぇ。』

『ツイタァー上げよっと…「川で洗濯リアルばーちゃんと桃〜相模川」っと…」


「プルプル、プルプル…はい、こちら本厚木駅駅前交番です。」

「はい、相模川で、洗濯?ないでしょう?はい、はい、解りましたぁ…たくぅ、この忙しいのに…はい、今から伺います。」

「こんな時代に川で洗濯ってあるわけないだろうが…まぁ、丁度、巡視の時間だから行ってみるかぁ。」


「えぇ…あれは?まじかぁ、いるのか…はぁ、参ったなぁ…。」


「たくぅ、婆さん、相模川で何をしています?」

「ちょっと、婆さんとは失礼だねぇ?これでも、まだ若いものには負けないよぉ。せめて、おねいさんとか?おばさんぐらいは言ってもらいたいねぇ。」

「はい、すいません。ところで、今は何をされています?」

「見りゃ解るだろ?洗濯だよぉ。」

「あのぉ?この看板は目に入らなかったですか?」

「何処にあるんだい?」

「ここに書いてあるでしょう?

ここの河川では、花火や凧上げなどは禁止しておりますので、ごみは持ち帰りましょう?」

「ほらぁ、書いてないでしょう?」

「書いてはいないけど…洗濯はだめ何だって…それに、国の私有地なんだから。」

「婆さん、何年生きているだよぉ…」

「そうだねぇ…70年ぐらいかねぇ?」

「婆さん、70年も生きていれば、世間一般の常識ってあるよねぇ?昔は大丈夫でも今はダメなんだよぉ。」

「はい、すいませんでした。それよりも、あんたも地域の安全を守る事して欲しいねぇ。年寄りを邪険にして、今日ぐらいは見てみないふりをしてもらいたいねぇ。」

「まぁ、お気持ちは解りますが…高校生と写真を取りましたよねぇ?」

「はぁ?あぁ~さっき迄いたかわいいおねいちゃんかい?」

「そうです。そうです。その高校生がSNSに写真を投稿しましてねぇ。それが拡散されまして…それで交番に連絡が入りまして…流石に見て見ぬふりは出来ずにすいません。今回は初めてだから見逃すけど…次は逮捕しますからねぇ。では、失礼します。」

「ちょっと、ちょっと、これは何だい?」

「はい、桃ですねぇ…」

「ちょっと、こんな大きいな桃は何処から?」

「さっき、流れてきました。」

「はい?流れてきました?」

「ちょっと、待って下さい。」

『渡さないよぉ。爺ちゃんと食べるんだからねぇ…』

『お婆さん、この土地は国の管理下にある県の所有地で拾っても遺失物として警察に届ける事は小学生でも知っているよねぇ?』

『そうなのかい?知らなかったねぇ…』

『知らなかったならしょうがないけど…名前と住所を記入して、後日、連絡がなければお渡しします。まぁ…出来るわけないけど。』


「おぉ〜すげぇ!

マジだよぉ…さっき、ツイタァーで投稿があった、『川で洗濯リアルばーちゃんと桃…』だよぉ。」


「はい、えぇ…、そうなんです。相模川で大きいな桃が流れてきて…現場に行ってもらえるかぁ…はい、今、迎ってます。」

「はい、現場の仲村です。」

「今日、たまたま通りかかった、お婆さん、田中 キクさん(87歳)か大きな桃を発見したそうです。では、第1発見者に話を聞きたいと思います。」

「はい、びっくりしました。桃、桃、桃!って必死でした。」

「それは、びっくりしましたねぇ?」

「仲村さん、その桃は?」

「はい、警察の方が持って行きました。その後、自衛隊の方が持って行く予定になっております。」

「なるほど、そうですねぇ?万が一、桃から未確認生物がいたら困りますからねぇ?」

「はい、それでは、現場からは以上です。」

「はい、お疲れ様でした。」

「いやぁ…びっくりですねぇ?」

「本当ですねぇ…こんな事が現代の世の中にあるんですねぇ?」

「それにしても、お婆さんもびっくりでしたねぇ?」

「いやぁ…」

「本当ですねぇ、お婆さん1人でねぇ?」


「こんこん、田中 キクさんですか?」

「はい、私ですが…」

突然、各マスメディアが殺到し始め、1週間ほど取材を受けたのであった。


一方、芝刈りに行ったお爺さんも警察からお叱りをうけて帰ってきたのであった…


そして、桃太郎?はこの世に生を受ける事なくDYZ-2945として、NASAとアメリカ軍により厳重に管理されたとか?

実は、あの有名な「スーパーマン」になったとか…ならなかったとか…梅干し食べて…スッパマンっとなってアラレちゃんからおほぉ〜ほぉ~い!されたとか…真実は闇の中。


「めでたし、めでたし。」


「はぁ、なんだぁ。この作品は!」

「ちょっと、あなた、仕事に行く時間ですよぉ?いつまで、寝ているのですか?」

「えぇ?」

「何を寝ぼけているんですか?ほらぁ、起きて、起きて…」


「終」



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