11月の出来事

第161話 右より左が下がっているらしい。(21/2/14改稿)

 ご愛読ありがとうございます。今回は「エロ注意」の話です。

 運営様からの指導で表現を改めましたが、不十分な場合は再修正致します。

 まだ問題があるようでしたら「161話に問題あり」と速やかにご連絡下さい。


 下ネタが苦手な方と15歳未満の方は、第162話にお進み下さい。

 スマホでご覧の方は、念のため壁を背にしてからご覧になって下さい。




 ――では、準備が出来た方はどうぞ。




 今日から11月。生娘祭まで、あと2日だ。

 北関東の山の中にあるこの学園は、東京よりずっと寒く、もう完全に冬である。


 放課後の美術室では、生娘祭に出展する絵の準備が着々と進められており、僕は総勢13名の美術部員たちの前で全裸になり、ガウンを着て待機していた。


 柔肌やわはださんは「服を着たままでいい」と許してくれたはずなのに、どういう話の流れか、美術部部長の口車くちぐるま先輩に、いつの間にか言いくるめられてしまったのだ。


 先日303号室に招かれたときに、口車先輩からお下がりの服を沢山いただいてしまっていたので、僕が断りにくかったという理由もある。


 今の僕は、みんなに喜んでもらえるのなら「まあいいか」という気持ちだ。


「それじゃ、ダビデ君、よろしく頼む」

「分かりました」


 お借りしていたガウンを脱いで、春のときと同じポーズを取る。

 これは「もっと細かいところまで描きたい」という脇谷わきたにさんからのご要望だ。


「デッサン開始!」


 部長さんの合図とともに、お嬢様方の視線がこちらに集まる。


 正面には脇谷さん、柔肌さん、ジャイコさんの順に3人が並んで座っており、左側には5年生が3人と2年生が2人、右側には1年生が4人並んで座っている。


 部長さんは絵を描かないで、部員達の描く絵を後ろから眺めているようだ。


 4月の体験会の時とは違って全員顔見知りなので緊張感は少なく、デッサン開始とともに室内が騒がしくなった。


「ねえ、これ前と変わってなくない? ちゃんとけたんじゃなかったの?」

「ダビデ君、マジ、包茎ダビデのままだよ。というか、前より小さくなってない?」

「何言ってんのよ。そこが、かわいいからいいんじゃない。ねえ、ダビデ君」


 早速、5年生の3人が僕に聞こえるくらいの声でおしゃべりを始める。


 上佐うわさ先輩には無事に剥けたことを既に報告済みだし、影口かげぐち先輩に悪気がない事も理解している。乙入おといり先輩が、かわいいものが大好きであることも知っているし、これが決して皮肉ではない事も分かっている。


 だが、オトコとして「小さくてかわいい」と思われる事は死んだも同然である。

 この場合の「かわいい」は、素直に誉め言葉として受け取る事はできない。


「すみません。寒いと縮んでしまうみたいで……本当はもう少し大きいはずなんですけど……」


 僕は5年生の先輩方に言い訳をしつつ、正面に座る柔肌さんの顔色を伺う。

 柔肌さんは僕と目が合うと、恥ずかしそうに目をらしてしまった。


 脇谷さんはその様子を見てニヤニヤしているし、ジャイコさんは真剣な顔で僕の下半身を黙々とデッサンしている。


 ――この状況は非常にまずい。


 ここで完成した絵のいくつかは、そのまま生娘祭で展示されてしまうのだ。


 ダビデ君、マジ包茎ダビデ――そんなふうに思われたくはないし、そんなことになってしまったら、僕のカノジョであるネネコさんにも恥をかかせる事になってしまう。


 冬はハダカだと寒いんです! 寒いと縮むんです! しかたないんです!

 僕は心の中で叫び続けていた。


「お姉さま! これは、きっと変身前の仮の姿です。本当のダビデ先輩は、もっとすごいんです! こんなに小さいはずがありません!」


 そんな状況を変えてくれたのは影口先輩の妹、2年生の入部いりべいざなさんだった。


「もっとすごいって……なんでイザナがそんな事を知っているの?」

「私達、大浴場で真の姿を見せてもらったんです。――ねえ、クルミちゃん」

「はい。あれは、まさに伝説の剣――エクスカリバー!」

「クルミ、エクスカリバーはダビデ王の剣じゃなくてアーサー王の剣だよ」


「あっ、『エクスカリバー!』って叫んでいたのは私じゃなくてゲームちゃんですけど、とにかくすごかったんですよ!」


 入部さんに続いて、尾中おなかさんも僕をフォローしてくれた。

 さすが、ダビデファンクラブの会員番号1番。ありがとう尾中さん。


 入部さんもありがとう。この場にいない文芸部の大場おおば迎夢げいむさんも、過大評価してくれてありがとう。


「エクスカリバーかぁ……ダビデ君、それってホントなの?」


「エクスカリバーとまではいきませんが、『ぷ●ちょ』のケースよりは大きいはずなんですけど……」 


「ふふっ、ふふふふっ……」


 1年生の熊谷くまがいさんが、楽しそうに笑っている。

 影口先輩と僕のやり取りが面白かったのだろうか。


「ポロリちゃんのお兄さまは、ハダカで寒いのではないですか? 

 ――部長さん、エアコンの設定温度を上げてもよろしいでしょうか?」


 僕を気遣って部長さんに訴えてくれたのは、熊谷さんの隣に座る有馬城ありまじょうさん。


「そうか。気が利かなくて悪かった。すぐに室内の温度を上げよう」 


 そのお陰で、エアコンの設定温度を上げてもらえることになったようだ。


「ありがとうございます。そうしてもらえると助かります」


 これで僕の下半身も、少しは元気になるだろう。

 有馬城さん、ありがとう。




 しばらくすると部屋も温まり、僕の股間こかんで冬眠していた亀さんが顔を出し、梅干しのように縮こまっていたゴールデンボールもブラリと垂れ下がった。


 これで、もう恥ずかしくない――なんて考えてしまうあたり、だいぶ神経がマヒしている気もするが、包茎ではない事が証明できて、とりあえず安心だ。


「ダビデ先輩、どうして左の玉の方が右の玉より下がっているのですか?」

「ふふっ、ふふふふっ……」


 今度は1年生の倉木くらきさんからの質問だ。

 その質問内容が面白かったのか、熊谷さんが笑っている。


「えっ? 左の玉のほうが下がってます? それは知りませんでした。同じ高さだとぶつかっちゃうから……ですかね?」


 左の玉の方が下がっているなんて、どうでもいいけど新たな発見だ。

 倉木さんは、僕のお稲荷さんの中身ゴールデンボールまで、よく観察してくれているようだ。


「センパイ! 右の玉と左の玉って、入れ替えたりできるんですか?」

「ふふっ、ふふふふっ……」


 続いて、同じく1年生で、倉木さんの隣に座る椎名しいなさんからの質問だ。

 熊谷さんは笑い続けているようだが、この手の話が好きなのだろうか。


「いや、それは無理だと思いますよ。中でひもが絡まったりしたら怖いですし」


 倉木さんや椎名さんとは今までほとんど会話をした事がなかったが、こんな面白い子達だったのか。1年生の子が好奇心旺盛おうせいなのは良い事だ。




「ねえハナ、ちょっと部屋の中、暑すぎない?」


 影口先輩が手を止めて、上佐先輩に同意を求めている。


「ユウナは暑がりだよね。……っていうか、私も暑いし」


 5年生の先輩方の座っている辺りは温風が直接当たるらしく、全裸の僕には丁度いい温度でも、冬の制服ではかなり暑そうである。


「暑かったら、脱いじゃえばいいんじゃないの? どうせダビデ君もハダカだし」

「ああ、それもそうか。なら失礼して……」

「私も付き合うよ」

「私も、私も!」


 乙入先輩の提案で、5年生の3人が一斉にセーラー服を脱ぎ始める。

 滅多にお目にかかれない光景なので、僕としては、非常にラッキーだ。


 おっぱいの大きさは3人ともほぼ同じ。下着の色は影口先輩がピンク、上佐先輩が白、乙入先輩がベージュで、影口先輩の下着が一番エッチな気がする。


 ――こんなことを考えてしまったら、どうなるか。


 僕は罠にめられたらしいが、後の祭りである。


「きゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ‼」


 その瞬間、美術室は黄色い大歓声に包まれた。

 理由は、説明するまでもないだろう。


「よっしゃ、作戦成功。ハナのカレシとどっちが大きい?」

「何それ? 私のかわいい従弟いとこをディスってるの?」

「ハナのカレシちゃんは、まだ中学生だから、これからだよね」


 どうやら、これは影口先輩の作戦だったらしい。副部長の影口先輩も、口車先輩と同様に後輩を手のひらの上で自由に操れるようだ。


「これです! これが『エクスカリバー』です!」

「さあ、今のうちに、みんなで写生しましょう」


「えーっ! どうして、こんなに大きさが変わっちゃうの?」

「すごいよね? こんなの初めて見た!」

「ふふっ、ふふふっ……」

「ポロリちゃんのお兄さまは、とっても寒がり屋さんだったのですね」



 2年生も1年生も、思った事をそのまま口にしている。


 脇谷さんとジャイコさんは、素早く次の画用紙を用意し、その部分だけ書き直しているように見える。


 そして、柔肌さんは相変わらず無言で、顔だけ真っ赤にしていた。






「デッサン終了!」

「お疲れ様でしたー!」 


 部長さんの合図で、モデルの時間が終わる。

 美術部のみなさんは満足してくれただろうか。


 モデルをしている間、僕は男性機能をずっと維持したままだった。


 僕の欲棒が力を失いそうになると、5年生の先輩方が、わざわざ自分のスカートをめくってブラとおそろいのパンツを見せてくれたのだ。お陰様で貧血気味である。




「甘井クン、協力ありがとう。これは美術部からのお礼だ」

「ちょっと、部長! やめて下さいよ。恥ずかしいな、もー」


「私が卒業した後は、ユウナに力を貸してやってくれ」

「それなら、いいかな。これからもよろしくね、ダビデ君」


「ありがとうございます。ありがたく頂戴いたします」


 帰り際に部長さんから頂いた絵は、一糸まとわぬ影口先輩の絵だった。

 しかも、フルカラーの油絵だ。僕にとっては、素晴らしい「お宝」である。


 これが、口車先輩と影口先輩の「人心掌握術」か。僕も見習わないと。

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