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食材を商店街で買い揃えた二人は、教会に戻って来た。
「そう言えば、今日は姿を見てないわね。」
教会内を見回したレイナが、ロムに尋ねる。
「あの子は、最近学校に通い始めましたので。」
「学校かぁ。もうそんな年なのね。」
そう言いながら、客室に入る二人。明日の作戦会議のためだ。
「でも、そろそろ帰ってくる時間ですね。」
ロムの言葉通り、教会の扉を勢いよく開ける音が聞こえた。
「お姉ちゃん!ただいま!」
肩まで伸ばした茶色の髪を揺らしながら、小さな女の子が元気よく教会の中に入ってくる。
「レーミュ、お帰りなさい。」
「あれ?お客様?」
ロムの声が聞こえた客室をそっと覗くレーミュ。そこで、レイナの顔を見たレーミュは、客室の扉を開け、レイナに飛びついた。
「レイナお姉ちゃん!」
「大きくなったわね、レーミュ。元気そうで良かった。」
レイナは、飛びついてきたレーミュを受け止め、その頭を撫でる。
「レーミュ、帰ってきたら、手洗いとうがいでしょ。」
「はーい!」
元気よく答えるレーミュは、教会の奥にある手洗い場に向かっていった。
「相変わらず、元気そうね。」
「ええ、いい子に育ってます。」
ロムが目を細めてレーミュの後姿を見守る。
「さて、作戦会議は夜にしましょうか。」
「そうね、これから忙しくなりそうだし。」
そんな会話をしてる間に、再び客室の扉が開き、レーミュが駆け込んできた。
「レイナお姉ちゃん、今日はどうしたの?」
そう言いながら、レーミュはレイナの膝にちょこんと座った。
「今日はね、ロムのお手伝いに来たのよ。」
「そうなの?何のお手伝い?」
首を後ろに向けて、レイナの顔を覗き込みながら訪ねるレーミュ。
「街の外のお掃除よ。あ、そうだ。明日一日、ロムを借りてもいいかな?」
「うん!いいよ!」
「ロム、良いって。」
そう言って、レイナとレーミュは笑っている。
「仕方ないですね。レイナ、明日はよろしくお願いしますね。」
ロムも笑顔でレイナに答えた。
「レイナお姉ちゃん、遊ぼう!」
今度は、レイナの方に体を向けて座るレーミュ。
「うーん、ロムのお手伝いをしないといけないから。」
「えー!」
大きな声でブーイングするレーミュ。
「じゃあ、晩ご飯を食べてから、少し遊びましょうか。」
「え?」
レイナの提案に、固まるレーミュ。そして、少し考えてレイナの手を握る。
「今日は泊っていくの?!」
「ええ。今日はここに泊めてくれるかな?」
「うん!いいよ!」
「ありがとう、レーミュ。」
レイナは、レーミュの頭をやさしくなでる。
「えへへ・・・。」
にこやかな顔でされるがままのレーミュ。
「レーミュ、学校行ってるんだって?なら、宿題があるんじゃない?」
「うん。あるよ。」
「じゃあ、それを終わらせないとね。」
「はーい。」
少しだけ声のトーンが落ちたレーミュ。レイナの膝の上からすとんと降りると、そのまま客室を出て自分の部屋に戻っていった。
「相変わらず元気いっぱいね。」
「今日は、特別元気ですね。やはり、レイナのおかげでしょう。」
「まあ、私も覚えがあるわ。」
レイナは昔を思い出しながらほほ笑む。
そして、おもむろにレイナは席を立ってロムに提案する。
「さて、晩ご飯作るんでしょ?私も何か手伝うわ。」
「あれ?レイナ、ご飯作れるようになったんですか?」
驚いた表情を見せるロム。
「簡単なものならね。ロムの様には出来ないわよ。」
「何が出来るんですか?」
「塩焼き・・・かな。」
レイナは空笑いしながら答える。
「まあ、冒険しながらだと、凝った料理は難しいですよね。私も、ここに来て色々と覚えましたから。」
「フォローありがと。」
レイナは、ちょっと悲しそうな声でロムに答えた。
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