102

「え? イブの日?」

 電話越しに早月は言った。

「そう。ダブルデートしようよ。私と早月と奏くんと歩で」と電話越しに山里椛が言った。

「うーん。イブの日か」

 ベットの上でごろごろしながら早月は言う。

「だめ?」

「だめってわけじゃないけど……、どうしようかな?」

 早月が渋っていると、椛が「実はさ……」と本音を切り出してきた。

 その話によると、椛と椛の彼氏である柏木歩との間で、最近、ちょっとうまくいっていないというか、少し気まずい雰囲気があるのだという。

 なので、二人だけと言うよりはみんなで一緒にデートをしたほうが、ずっと二人の関係がうまくいくような気がしていると椛は言った。

「ようは柏木くんと仲直りをするきっかけが欲しいってことね」早月は言う。

「まあ、そんな感じ。お願い、早月。協力して」

 椛は言う。

 椛には普段からいろいろと借り(勉強を教えてもらったり、相談に乗ってもらったり)があったので、早月は「いいよ」と椛に言った。

 それから早月は自分の彼氏である高田奏に電話をした。

 先ほどの椛の話を伝えると、奏は「歩達と一緒にデートをするんだね。わかった。別にいいよ」と言った。

 奏と歩は同じ高校の生徒同士だった。

 二人は親友同士でもあり、その関係で、二人のそれぞれの彼女である早月と椛は学院ですごく仲良くなったと言う経緯があった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る