第4話 出撃

――司令室


 【解析隊】の調査は続いたが、結局は異物の存在は確認されなかった。


「みんなお疲れ様。各自休憩を取ってくれ」

「はい!」


 イグアスが声をかけると、局員たちは肩から力を抜いた。


 ピッ……!


 電子音が鳴り響いた。


「12月25日か……」


 クリスマスを迎えていた。


 …


――機体格納庫


「お、クリスマスか」

「真っ暗でサンタも見えないな」

「キース、デューダー、機体のチェックは終わったのか?」


 窓際で会話している2人にアックスが声をかける。


「はい、完璧ですよ!」

「それならいいんだ。ほら、コーヒーだ」

「ありがとうございます!」


 アックスからコーヒーが振る舞われた。タイガもコーヒーを持ちながらやって来た。


「アックスさんの分のコーヒーです」

「おぉ、ありがとう」


 コーヒーを飲みながら、外を見つめる。


「本当に真っ暗ですねぇ……」

「地球も全く見えなくなっちまったな」

「なんか別の世界に来てしまったような感覚だ……」


 雑談をしつつ、出撃に備える。

 突然、フェルウェインが立ち上がった。


「……来るぞ」


 …


 ――司令室


「【解析隊】、状況はどうだ?」

「異物の存在を確認!」

「隕石が複数個接近しています!」

「【考察指示隊】の方にデータを送ります」

「頼む」


 【解析隊】の調査結果を即座に【考察指示隊】へと送る。画面に映る宇宙区画地図うちゅうくかくちずと見比べ、【遊撃隊】の目標地点を計算する。


「算出、完了いたしました。【遊撃隊】に送ります」


 …


 ――機体格納庫


 ピコンッ……!


「【考察指示隊】から連絡が来ました」


 タイガが通知音が鳴った端末へと近づく。


「本当に来た……」

「フェルウェインさん、流石ですね!」

「私のことはいいから、早く内容を出してくれ」

「はい!」


 タイガが端末を操作すると、格納庫に設置されている画面に地図が表示された。画面上には異物の軌道、速度、宇宙船付近への到達時間と【遊撃隊】が撃墜を行う位置が書き込んである。


「オレとキースはC-F-Fブロックだな」

「おっ、今回もよろしくな」

「僕はV-S-Cか……。あ、フェルウェインさんと一緒ですね」

「あぁ、よろしく」

「俺は……L-K-Lか」


 各区画では宇宙空間を縦、横、奥行の3つをそれぞれ26等分している。それぞれのアルファベットはその座標を示す。【ヴァジュラ】の座標は「N-N-N」。この区画の中心に位置している。


「全員、目標地点を確認したな。異物の到達まで時間はあまりない。急いで出撃するんだ」

「はい!」


 【遊撃隊】は一斉に機体に乗り込んだ。


「【遊撃隊】タイガ、【フェザント】出撃します!」

「【遊撃隊】デューダー、【ロビン】出るぞ!」

「【遊撃隊】キース、【ホーク】出る!」

「【遊撃隊】アックス、【レイヴン】行きます!」

「【遊撃隊】フェルウェイン、【アイビス】出撃!」


【遊撃隊】は暗闇に包まれた宇宙へと飛び立った。

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